『ごきげんよう』が大低迷! リニューアルに見る、スポンサー一社提供番組の“鉄の掟”
「恋の話、略して?」「こいばな~」。そんなフレーズでおなじみ、お昼の人気番組『ごきげんよう』(フジテレビ系)に今、大きな異変が起きている。代名詞とも言えるサイコロトークはまだ続いているものの、サイコロに書かれているテーマはもはや冒頭のような“ゆるい”ものではない。書かれているのは例えば、「再婚のきっかけ」や「前の結婚から学んだこと」といった具体的なものなのだ。
また、これまではゲストは3人制で、毎日1人ずつ抜けて新しいゲストが投入されるシステムだったが、現在は日替わりの2人のみ。「芸能一家の母」「再婚芸能人」「猛獣妻」といったテーマにあてはまるタレントが、MC・小堺一機を真ん中に、向かい合わせになってトークするというスタイルになっている。もちろん、小堺による「席替え!」という掛け声とともに、ゲストがお茶菓子を持って席を移動するといった風景もない。
「まあサイコロトークとはいえ、どの出目(テーマ)が来ても、話をうまくすり替えたりして自分の持ちネタを展開するタレントが多かったりと、そもそもサイコロにあまり意味はなかったようなものですが、今回のリニューアルでさらに存在意味がなくなったと思います。そもそも、制作サイドが希望する順番で話してもらえさえすれば済むことですからね」(制作会社ディレクター)
それにしても、放送開始から24年目を迎える長寿番組は、なぜこのようなリニューアルに踏み切ったのだろうか。
「もちろん視聴率の低迷ですよ。『笑っていいとも!』が前の枠にあった頃は常時6%ほど獲れていた数字も、『バイキング』になってから悪い流れを断ちきれず、毎日2~3%が関の山です。ちなみに、この番組はライオンの一社提供。単独提供の番組というのは、テレビ局の編成マンとメーカー側とのやり取りも密なだけに、おそらく打開策の要望がライオン側からあったのではないでしょうか」(別の制作会社スタッフ)
暮らしを見つめる一方で、番組もしっかり見つめているということか。しかし単独スポンサーとなるような企業は、こうした視聴率より大事にしていることがあるという。
「もちろん、数字が致命的にひどい場合はさすがに口を出したくなるのでしょうが、ただ視聴率より大事なのは『信頼性』です。一社提供する企業は目先の数字を獲ることより、まずは信頼のある番組に育ってほしいと願うことがほとんど。ただの一度でも信頼を損ねると、スポンサーは『降板』という切り札を出してきます。例えば1999年、人気トーク番組『おしゃれイズム』(日本テレビ系)の前身である『おしゃれカンケイ』に野村沙知代がゲスト出演したのですが、スポンサーの資生堂が『企業イメージにそぐわない』として、この1回だけ降板するという事態に発展しました。また2007年、『発掘!あるある大事典2』(フジテレビ系)で“納豆にダイエット効果がある”という触れ込みで紹介されたデータが捏造だったことが発覚。単独スポンサーの花王が降板し、番組も打ち切りを迫られました」(芸能ライター)
13年、『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)でも騒動があった。番組開始当初から出演していた解答者・板東英二が脱税問題に見舞わたことを受け、放送で見事なまでに彼の姿だけ消されるという“神編集”がなされ、ネット上では「さすが日立の技術」などと騒がれた。
「企業の業績不振に伴い、莫大な広告費がかかる単独スポンサーの番組というのは5分間のミニ番組を除いて、かなり減っています。そんな中で大手企業が単独提供してくれる番組はテレビ局にとっては有難いのです。ですから、『ふしぎ発見』にしても『ごきげんよう』にしても、スポンサーの機嫌を損ねないことは至上命題なのです」
『ごきげんよう』が今の形態にリニューアルされたのは、昨年10月。それから半年たつが、いまだ上昇の兆しはない。ライオンの“ごきげん”を損ねないうちに、早く成果が得られることを期待したい。