スタイリスト・大草直子を失った「DRESS」が舵を切る、“痛く見えない”アラフォーが痛い!?
スキンケアの方法を3人に聞き「スチーマーを使っています」と言われれば、「それならパナソニックがお勧めです」。「癖っ毛が悩み」と言われれば、「それならパナソニックがお勧めです」。なぜ、美容家でもなんでもない人が、偉そうにあれこれ回答しているのか、謎でいっぱいだったんですが、ページをめくって納得。次の見開きではパナソニックのスチーマーとドライヤー、マスクを紹介しています。なるほど、広告だったのですね。しかも「DRESS」の無料購読をつけてセットで買うとお買い得、という「DRESSスペシャルセット」の紹介までありました。今月号はそのほかにも、ファンケルの美容液と「DRESS」のスペシャル開運ビューティBOOKのセット販売も(スペシャル開運ビューティって、すごい女性誌頻出単語をただくっつけただけのタイトルがすごい)。なんかもう、雑誌を読ませたいのか、物を売りたいのかよくわからない姿勢になってます。
ところで、編集長の顔はよく見かける「DRESS」ですが、今月号に、スタイリストの大草直子さんがどこにもいないことに気が付きました。「DRESS」のファッションディレクターとして、ファッション企画の筆頭にいて、一時はファッションノートまで公開するほど、「あれも大草、これも大草、みんな大草」というほど、大草さんにまみれていた「DRESS」だったのに。気になって調べてみると、12月号で“卒業”されたそうです。これは大損失では。「DRESS」って、固定の大草さんファンが結構ついていたように思います。その層が離れるダメージをカバーできるのか、というところが問題ですが、リアルクローズに定評のある大草さんだけに、それを先月の「キティちゃん特集」のような現実感のないファッション提案で補おうとしているのが危機感を感じます。
今月号でも「大人前髪の社会学」という企画を始め、「前髪をつくっておしゃれさんになりましょう」的なページがぞろぞろと載っていて、どうにも現実感がないような。「ロゴTシャツも前髪をつくれば痛く見えずに着られる!」と提案しているんですが、そこまでしてわざわざロゴTを着なくてもいいという気もします。アラフォーが前髪を切った時、まず気になるのが、「顔そのものは昔に比べて老けているのに、髪型だけ若返るとかえって痛くないかな?」ということ。前髪をつくったからって、若い格好がおかしくない、というのはちょっと話が飛びすぎのような気もします。でも、アラフォーは体形も崩れてくるし、似合う服も変わってくるので、“着るもの難民”になりやすいのも事実。微妙なアラフォー心をくみ取ったファッション提案を期待しています。
■今月も“高飛車芸”炸裂
さて最後に、毎号定点観測し、楽しみにしている連載「婚活人生泣き笑いゲーム」。アラフォーのイラストレーターが婚活に挑戦するというコミックエッセイですが、彼女の高飛車な言動が見どころなんです。今号では、登録していたマッチングサイトを退会したそう。今月も引き続き「FBで友達申請してきたけれどスルーしました」「外見はわりと良かったけど年相応の知的さを感じられず」などと2人の男性にダメ出しをし、相変わらずの高飛車ぶりです。占い師をしている友人から聞いたのですが、占い依存症になる人の特徴は「プライドが高く、自分の失敗や逆境を認められない人」なんだとか。このイラストレーターの方、前々号で「男にヤリ捨てられて、占いに10万使った」と書いていたので、納得してしまいました。
(増井涼子)