古閑美保の「ぶりっ子」を引き出した、SMAP・木村&中居の“スター性”という罪深さ
今回ツッコませていただくのは、1月26日放送分『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)~「ビストロSMAP」に登場した元プロゴルファー・古閑美保の別人ぶり。
真っ赤なミニのワンピース姿につけまつげバチバチで、ヘアスタイルも化粧も、別人のように盛り盛りでやってきた古閑美保。全身から“肉食”感がみなぎっている。だが、驚いたのは、ビジュアル的なファーストインプレッションだけじゃない。こんなに愛想の良い古閑美保、今まで見たことあったっけ?
背筋をピンと伸ばして座り、顎を引き気味にし、口元に常に優雅に笑みをたたえている。恐ろしい。中居正広がしゃべっている間、隣に立ち、両手を軽く前で組んでいたり、笑うときには両手を軽く組んで口元に持っていったりする「ぶりっ子」しぐさを見せる。ますます恐ろしい。正直、日頃のハスキーでドスの効いた高圧的なしゃべり方よりも、優雅な立ち居振る舞いの古閑美保の方が、よっぽど迫力があって恐ろしく見える。と同時に、なんだかがっかりしてしまった。
古閑美保といえば、倖田來未のアバズレさと、高嶋ちさ子の短気さ・高慢さ・トークのキレを併せ持つ、メスとして最強の部類だと思っていたから。それなのに、この日の古閑美保は、ひたすらブリブリ、デレデレしていた。日頃、男を顎で使い、同性の前ではぶっちゃけサバサバキャラで通している女友達の、見てはいけない「暗黒面」を飲み会などで垣間見てしまったときの心境だろうか。
そうした「デレ」の面を見てしまうと、古閑美保が、いつもクラスの派手な男子グループにくっついては、地味なクラスメートの悪口を大声で言ったり、馬鹿にしたり、おとなしい男子にジャムパンを買いに走らせたりするおっかない女子にしか見えなくなってくる。
SMAP(特に、木村、中居のツートップ)が罪深いのは、そのカリスマ性とスター性によって、相手を魅了・圧倒し、「素」の状態にさせてしまうこと。SMAPを前にすると、日頃の計算や作りこんだ「キャラ」を忘れ、無防備になり、ただ気に入られようとしてしまう有名人が実に多いのだ。それが「テレビ」という「視聴者が見るもの」であることも忘れ、視線はSMAPだけに注がれる。自分が世間の目にどう映るのかという客観性を失い、舞い上がり、女優や女性タレントは、単なる「メス」になる。だからこそ、「ビストロSMAP」などは「料理じゃなく、結局、キスしたい相手だけで選んだだろ」と思える人が昔から多数いて、盛大にがっかりしてしまうのだけど……。
SMAP(というか木村、中居)は確かに「強い遺伝子」持ってそうだもんなあ。でも、人が我を忘れて誰かにうっとりしてしまっている姿って、本人的には美しい感情でも、傍から見たらグロテスクなこともあるのだ。
(田幸和歌子)