ハッキング被害の映画『ザ・インタビュー』は酷評の嵐、見どころはエミネムのカミングアウトのみ?
俳優のロブ・ロウが実はカツラだと告白し、カツラを取り外してハゲの自分をさらけ出し、デイヴから「キモ~い」という目で見られるというシーンも好評だったが、最も絶賛されたのはハードコアなラッパー、エミネムのシーン。ノリノリでインタビューするデイヴに、エミネムがさりげなく「オレはゲイだから」とカミングアウトするというものなのだが、「エミネムの演技が一番素晴らしい」「みんなわざとらしい演技で見るに耐えないが、エミネムの演技力だけは最高」と大絶賛されているのだ。
エミネムは劇中のインタビューで、「オレの嫌悪感っていうのは、実は怖いという感情からきている」「女を卑下するのも、母親との問題がもとになってるし」「オレがゲイについて話したり、オレの歌詞は同性愛嫌悪だとか思う人がいるけど。それは、オレがゲイだから」とさらっと発言。エミネムは続けて、「暴力について……」と語っていくのだが、突然の告白にデイヴは「えっ!?」と辺りを見渡す。アーロンら裏方も、「マジかよ! 今、ゲイだってカミングアウトしたよな!?」と大慌て。アーロンからイヤホンで指示を受けたデイヴが、「ちょっと、ゲイっておっしゃりましたけど、どういう意味?」と質問すると、エミネムは動揺することなく「ホモセクシュアルだけど」「男が好きだけど」と言い、裏方にいるアーロンたちは「クソっ! スクープだ」と大喜びする。驚きで目をパチクリさせながら、「みなさん、とても驚いていることと思いますが」と言うデイヴに、エミネムは「いや、みんな気づいていると思ってたけど」と涼しい顔で、裏方では、エミネムの広報担当者がインタビュー放映を阻止しようとし、スタッフともみくちゃになる。
極みつきは、アーロンから指示を受け、デイヴが「あなたの『Medicine Ball』という曲の歌詞に、“いい直腸持ってんじゃねぇか/オレは精管切除してるから、バイセク貫通しても妊娠しないぜ、へクター”というのがありますが……」と質問し、エミネムが、「ヘクターは実在する奴だけど」と言うくだり。デイヴが「ヘクターと彼の直腸は本物なんですね!」と言い、裏方は「スクープ祭りだ!」とフィーバーするというお下劣な展開になっていく。
このエミネムのシーンに、ネット上は、「北朝鮮でのドタバタよりも、エミネムのシーンが一番おもしろい」という意見が殺到。「この作品には、シモネタとゲイネタがあまりにも多くて吐き気がする」「ゲイを笑いネタにしないで欲しい」という声も出ていたが、「B級映画になにを期待するんだ」「セスに上品な映画が作れるわけないだろ」「120%ゲイではないエミネムが、ゲイだと告白するからおもしろいんだ」と言い負かされていた。
もしハッカーからの脅迫がなかったら、ここまで話題にはならなかったであろう『ザ・インタビュー』。話題になったからこそ、エミネムのオモシロシーンが見られてよかったという声が出ているほど、彼の演技は絶賛されている。一方、作品自体は年を越えても話題の中心で居続けられるかは、微妙なところだと冷ややかな目で見られている。