お天気お姉さん・女子アナに見る、「おじさん」の心と酒と金を動かす作法
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎NHKの貢献度
お天気お姉さん&お天気お兄さんたちの変態トリプル不倫報道。いい話だなぁ。『ニュース7』(NHK)ほぼ毎日見てたけど、そのコのこと今ひとつ覚えてない。こうなるのわかってたらもっとじっくり見たんだけどな。NHKのお天気お姉さんって、「女のアンテナには引っかからないが、男の視聴者だけ反応する」という絶妙なタマを据えるのがいつもものすごくウマいから。
ブスではないが女の目から見て、さほど羨ましくもない容姿。着ている服もイマイチで、ファッションリーダーとしての資質もナシ。しかし、それがそのまま男から見ると、「なーんとなく、手が届きそう」という劣情となって、脳を直接刺激する。
今日、近所のやきとん屋で、持ち帰りの串を待ってる間、そこで飲んでる50代くらいのサラリーマン3人組の会話がずっと聞こえてたのだが。「顔が矢口真里に似てる。あれはエロいよ」「背が小さくて身の詰まった、ああいう女って、エロいんだよね」「なんかドジだってアピールしてたらしいけど。『ドジっ子』自称するって、『私、スキあります』って言ってるのと同じ。エロさの自白だよ」「そういやスイカップって、今どうしてんだろ。あれもエロかった」と、全ての話の最後を「エロい」で括る勝手な会話で盛り上がっていた。「エロいよねぇ。おかわり!」で、酒も進んでた。今日この話で「もう一杯」となった酒の席は、結構な数にのぼると思われる。なんだかんだで、このテの下世話バナシが、日本の景気を支える屋台骨ってことなのかもしれないな。いい話だ。
◎テレビの中心はおじさんです
『ユミパン・クリスマス生放送SP』(フジテレビ系)で、歴代のパンアナが揃ってキャッキャしていた。「ブス」だの「ダイナマイトボディ」だの、容姿に関する男からのストレートな指摘を笑顔でいなし、投げられる下ネタ話を笑顔でかわし、聞かれたら自分の話をし、次は相手の話を聞き出して、ヘタな歌や踊りもテレながら元気に披露!
本当に、フジテレビのパンシリーズを見ていると、「女子アナって、ホステスだよなぁ」としみじみ思う。日テレと揉めてるあのコは、やっぱりフジに入れてあげたらいいと思う。向いてる。水を得た魚で、いいパン出るぞ。若い女性を「パン」呼ばわりする、その感性がまず、環境的に水商売だもんなぁ。若い人はわかりませんね。
しかし、「自分が主人公」という舞台を与えられた歴代パンアナの思い出話に「パンシリーズって、タレント側はけっこう思い入れ無いのよ」と水を差した、有吉の一言はいつもながら本当に。生放送での有吉って、見てて一層楽しい。昨日の『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』(フジテレビ系)も、ダレた感じが見てられないところへ、突然マツコが出てきて救われたもんなぁ。ただアシスタントに徹して、ニコニコ商品と一緒に映ってるだけってところがまた。わかってる人間が生で映ると本当に楽しい。とにかく、やっぱり「生」はいい。
今年は本当に、テレビ業界は、年末の特番体制に入るのが早すぎる。そして内容もいつもに増してヒドすぎる。この作り置き感はなんなんだ。そんなに休み優先か。普段より人がテレビの前で過ごす時間が多い時期に、普段より完成度が低いものを出すという。書き入れどきに何やってんだ。バカなんだろうか。
11月から、一山いくらで積まれたタレントに晴れ着着せて、尺が長いだけのつまんない特番撮ってないで、生番組を増やしてくれ。いつもより見たくなるような、いつもは見られないようなヤツを。「特別番組」って、本来そういうことのはずなのに。
◎今年の女MVP
結局、全ては宣伝だったんだな。満員大入りの米映画『ザ・インタビュー』。公開までの紆余曲折の演出の限りは『ザ・インタビュー2』でぜひ。このニュース見て、久しぶりに無性に『チーム・アメリカ/ワールドポリス』見たくなってツタヤ行ったら、やっぱりずーっと貸し出し中。むぅ。思うところは皆一緒。まさかこれも計算なのか。まさかな。結局、昔録った『キムジョンギリア』の録画を再度鑑賞してしみじみ。いやー、『ザ・インタビュー』で狙われるなら、この制作関係者たちはもうとっくに皆殺しだろう。『チーム・アメリカ』もな。
映画といえば話題の『ゴーン・ガール』を見てきたのだが。見てる間、なぜか家鋪さくらさんのことばかり頭に浮かんでしまった。やってることはまったく違うんだけど。目的を完遂する女ってのはスゴいなっていうね。……結局また、ノンフィクションで完遂しちゃうさくらさんが一番すごいって話で終わるんだが。今週も原稿3本全部載ってますでしょうか。
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。