嵐の「わちゃわちゃ」の象徴? 人気あるのに数字は厳しい“相葉ちゃん”の愛され方
今回ツッコませていただくのは、嵐・相葉雅紀という人の不思議な存在感。
30代なのに、誰もがなんの疑問も持たずに「ちゃん呼び」してしまう、相葉ちゃん。『VS嵐』(フジテレビ系)では「ババ抜き最弱王決定戦」で負けて本気で号泣し、それだけでTwitterなどでは「可愛い~」「純情すぎる」と絶賛された、相葉ちゃん。こんなアイドル、ほかにいるだろうか。一番人気のグループ・嵐においても、嫌いという人を見たことのない抜群の好感度を誇る一方で、不思議なのは、かといって数字が獲れるわけではないところだ。
例えば、現在公開中の映画単独初主演作『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』は、初登場2位で、全国302スクリーンで公開され、動員13万3,390人と、まずまずの滑り出しだが、歴代主演ドラマの視聴率は、『マイガール』(テレビ朝日系、2008年/平均視聴率8.82%)、『バーテンダー』(同、11年/10.03%)、『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ系、12年/12.8%)、『ラストホープ』(フジテレビ系、13年/10.6%)と、いずれも苦戦。(全てビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)
また、『トーキョーライブ』(テレビ東京系)では、相葉ちゃんが登場した11月23日放送分で視聴率1.8%を出し、Hey!Say!JUMPとジャニーズWESTが隔週で出演している深夜の弟分番組『リトルトーキョーライブ』と大差ない数字になってしまった。さらに、11月26日放送の『ベストアーティスト2014』(日本テレビ系)では、不思議な現象が見られた。
病気療養中の今井翼に代わり、タッキー&翼「夢物語」コラボ企画として、KAT‐TUN亀梨和也→NEWS・増田貴久(まっすー)→関ジャニ∞・横山裕→相葉ちゃんという順番でタッキーと一緒に歌い、途中からバックダンサーとしてHey!Say!JUMPが登場したのだが、ステージに現れた瞬間の声援の大きさは、なぜかまっすーとJUMPが圧倒的。もちろん番組協力に来ていたファンの割合の差もあるだろうし、そもそも声援を上げるかどうかというファンのトーンの違いもあるだろう。とはいえ、嵐なのに、「きゃ~!」じゃないのは、なんとなく不思議な感じがしたのである。
考えてみれば、相葉ちゃんの場合、誰もが挙げる代表作って、ドラマでも映画でもなく、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)なんだと思う。みんなが「可愛い」と言い、みんなが好感を持って、温かく見守っている。そして、相葉ちゃんこそが、嵐の不変の「良心」であり、みんなが大好きな「嵐のわちゃわちゃ感」の「象徴」でもあると思う。にもかかわらず、単独でドラマや映画に出ても、熱狂して追いかけるわけではなく、嵐以外のジャニーズタレントと絡んでも黄色い声援を上げるわけでもない、不思議な愛し方。
「嵐の中の相葉ちゃん」と「相葉ちゃんあっての嵐」がみんなは大好きなのであって、その温度は、一気に沸騰することも冷めることもなく、いつでも浸かっていられる・いたくなるちょうど良い温度なのだろうか。単独では数字になかなかつながらないが、嵐人気をつないでいる人。やっぱりこんなアイドル、ほかにいないと思うんです。
(田幸和歌子)