カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「BAILA」12月号

“自然体”なアラサー女子向け雑誌「BAILA」、その仮面の下に隠された必死すぎな素顔

2014/11/29 16:00

 さて、そんな背景を加味しつつ、一体どんな“自然体”ファッションが見られるのだろうとワクワクしたのですが、正直目新しいテクニックはあまりないような……。結局「コートだけ高いものを買って、Vネックの服着て、アクセサリーを重ね付けする」というド定番テクニックに落ち着いている気がして、物足りなさを感じました。また、「“ロープラで高見え”ここまでかないます!」というコーナーもあったのですが、全てが「ZARAやH&Mなどのファストファッション」+「上質ブランド」のコーディネートといった具合。自然体って、定番ってことなの? 

 そもそも、頑張らずに高見えを目指すならば、自己主張の激しくない上質ブランドで一式揃えてしまえばいいのではとも思います。が、ここにもまたバイラーズたちの深~い事情があるようで、実は前号の調査で、「バイラーズの55%が貯蓄額100万円未満」という事実が発覚していたのです。同世代向け女性誌「Oggi」読者の平均貯蓄額が「428万円」、「AneCan」(小学館)読者が「430万円」と発表されたことを考えると、やはり「低い」と感じてしまいます。自然体でオシャレをやるには、「圧倒的に金がねぇ」という現実を抱えるバイラーズ。本当なら、セレクトショップなどで気軽に服を買いたい……けど、できないからファストファッション! そんな葛藤を抱えている時点で、「頑張っていない」は相当ハードルが高いかもしれません。

 しかし、そんなバイラーズに“朗報”とでも言うべき記事がありました。男女200名に聞いた「見た!会った!あなたが思う高そうに見える人」というアンケート記事の男性コメントが、なんとも粘着質ながら、核心を突いているんです。

「信号待ちでふと目を落としたとき。前に立っていた女性のヒールの先がとてもきれいで美学が感じられてとても素敵だと思った」(男性・32歳・メーカー経理)
「とろみブラウスやレースなど質感が女らしいものに高級感を感じる。とくに顔周りにあると印象に直結する気がします」(男性・31歳・航空)

 とろみブラウスの質感が女らしい=高級って短絡的すぎ! とろみブラウスでOKだったら、ファストファッションどころか、しまむらでも商店街の激安洋品店でも購入可、結局のところ男性にとって高見えとは、「女性らしい」なのでしょう。“モテ”に対してもガッツかないスタンスの「BAILA」ですが、この男性コメントは“金欠だけど高見えしたい”バイラーズに勇気を与えるかもしれません。

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