“自然体”なアラサー女子向け雑誌「BAILA」、その仮面の下に隠された必死すぎな素顔
今月から女性誌レビューに「BAILA」(集英社)が登場です。「BAILA」は集英社が発刊する、30歳前後の未婚・既婚女性を問わずターゲットとした「働く女性のおしゃれを磨くファッション誌」だそう。現在の日本において、女性は結婚したからといってすぐに働き方を変えるわけでも、生活ランクを下げなければならないわけでもないので、「独身も既婚もターゲット」というのはファッション誌のくくりとしてとても真っ当なのかもしれません。真にライフスタイルの変革が求められるのは出産後、離職後ということになるのでしょう。そう、「BAILA」とは、同じアラサー向けとはいっても、「CLASSY.」(光文社)みたいに結婚を虎視眈々と狙ったり、「Oggi」(小学館)みたいに常に○年後のキャリアを見据えたりとかせず、川の流れに身を任せ、結婚していてもしていなくても、とりあえず仕事を頑張りたい人のための雑誌なのです。
ちなみに、集英社の雑誌ラインナップを見ると、「Seventeen」→「non-no」→「MORE」ときて、この「BAILA」に行き着くのが定石のよう。しかし果たして、ピンクチークと褒められることが大好きなカジュアル・フェミニン系雑誌「MORE」から、とりあえず淡々と仕事して人生の潮目を待つコンサバティブ雑誌「BAILA」に、読者はすんなり移行できるのか……若干疑問が残ります。
<トピック>
◎“頑張っていないのに高そうに見える人”がやっていること
◎働き盛りを襲う「これって何のため?」
◎婚+婚後BAILA
■“自然体でオシャレ”は頑張らないとムリ!
まずは今月の特集「“頑張っていないのに高そうに見える人”がやっていること」を見ていきましょう。「頑張っていない」というタイトル通り、本特集は22ページ&文字量少なめという、「羽根つき・ロング・普通の日の昼用」くらいのボリューム感。ガッツかないのが「BAILA」の特徴の1つなのでしょう。
早速中身を読んでいくと、この特集は8月号の企画「自然体なのに埋もれない、目立つのに浮かない。たくさんの人がいてもパッと目を引く女性の秘訣は?」を冬用にアレンジしたものだといいます。「コンサバ」という言葉がキャッチやリードに目立つ「BAILA」ですが、筆者はこの「自然体」こそが雑誌の裏テーマの1つだと思っています。“バイラーズ”と呼ばれる読者のファッション信条は「自然体」であり、どんなにおしゃれしていても「私、普段からこんなん着てますけど?」と、「おしゃれに関しては、表面上無関心を装うこと」をモットーにしているようなのです。しかし、本当にそんな人がファッション誌を買うはずもなく、そこにはもちろん「仕事帰りに、サラッと服を買っちゃう女って素敵」「しかもそれを褒められちゃう女ってもっと素敵」といった裏の願望が見え隠れしています。