サイゾーウーマンカルチャー漫画レビュー名作の予感『かげきしょうじょ!』 カルチャー 『なんかおもしろいマンガ』あります ~女子マンガ月報~【11月】後編 宝塚・アイドルへの祝福にあふれる『かげきしょうじょ!』、今こそ読むべき名作の予感 2014/11/20 21:00 マンガ『なんかおもしろいマンガ』あります 【11月の注目作】「性器ギャグ」が炸裂する『白馬のお嫁さん』は電車で読むと大変に危険! (左)『白馬のお嫁さん』1(講談社)、(右)『たそがれたかこ』3(講談社) 入江喜和先生の『たそがれたかこ』3(講談社)が11月13日に発売されたのですが、どこの書店でも平積みになっていません。なんということでしょうか。たしかに派手なお話ではありませんが、本作には日常を生き抜く上でとても大切なことが数多く描かれています。アラフォーのみならず、アラサー女子も必読でありましょう。今一度プッシュしておきます。 今月最も注目すべき作品は、21日発売の庄司創先生『白馬のお嫁さん』1(講談社)です。時は2063年。遺伝子操作によって作られた「産む男」たちと、北海道・礼文島からやってきた純朴な少年・氏家清隆との学園生活を描く、ちょっと風変わりな学園婚活コメディです。冒頭からして性器の話まみれで、電車で読むのはあらゆる意味で非常に危険なマンガであると警告しておきます。 前作の短編集『三文未来の家庭訪問』(講談社)でも見せた抜群のSFセンスと巧みなストーリーテリングに、破壊力あるギャグ(江口寿史先生の名作『ストップ!!ひばりくん!』の記憶を刺激します)が加わって、まさに鬼に金棒といったところ。ジェンダー的にも示唆に富む、懐の深い作品になりそうです。 ほかにも11月は、7日に阿仁谷ユイジ先生『テンペスト』6(講談社)、8日に町麻衣先生『アヤメくんののんびり肉食日誌』3(祥伝社)、10日に西炯子先生『姉の結婚』(小学館)の最終巻となる8巻、13日に二ノ宮知子先生の新連載『七つ屋志のぶの宝石匣』1(講談社)、25日にくらもちふさこ先生『花に染む』5(集英社)、28日に『3月のライオン』10(白泉社)、29日に吉野朔実先生『period』5(小学館)などなど、注目作が多数発売されます。要するに今月も大忙しなのです。 小田真琴(おだ・まこと) 女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題が欲しかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14竿を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「SPUR」(集英社)にて「マンガの中の私たち」、「婦人画報」(ハースト婦人画報社)にて「小田真琴の現代コミック考」連載中。 前のページ12 最終更新:2015/01/09 19:07 Amazon 『かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)』 圧倒的な瞬間をずっと信じ続けてる 関連記事 永遠と幻を信じること――少女アイドルの内面を掘り下げた作品『5つ数えれば君の夢』女子マンガ代表・雁須磨子『右足と左足のあいだ』が描く、男女の“言葉”のズレの妙味相次ぐマンガ誌休刊の中、“売れるマンガ”の役割と少女マンガ誌の危ういスタンス見世物小屋一座の擬似家族が漂う、“ここではないどこか”の誘惑と余韻――『五色の舟』かつては売れっ子、低迷するアラフォー女漫画家の自虐コメディ『都の昼寝物語』の叫び 次の記事 表と裏の顔が違う大物アーティストとは >