「CLASSY.」が“こなれ+タイツ”を喧伝するも、男子座談会は「やっぱりコンサバが好き」
そんなこんなで70ページ超を全て“タイツ”で埋め尽くしたこの特集。タイツの基礎知識から、みんな大好き関西美脚読者のこだわりタイツMAP、さらに読者がすべて試着したベストタイツ選手権まで、「タイツの可能性を、“積極的”に、限界まで追い求めています」の看板に偽りなし。「コレだけは知っておきたいタイツの基礎知識」では「ゾッキと交編の違い」や「デニールって何?」など、知ってるようで知らないタイツの世界が丸わかり。「タイツの便利な整理法」で紹介されていた、クルクル丸められたタイツが“黒110デニール”“発熱”“グレー”など手書きのメモの下でこまぞまと収納されている様子や、洗濯タグに「10/14」「11/5」と新品を下した日付をマジックで書いて新古の状態をチェックする方法に、思わず涙がこぼれそうになりました。だってこれ、実家の母もやってるから……。こなれたオシャレを放ったつもりが、おっかさんになって返ってくる「CLASSY.」が大好きです。
■こなれとコンサバの追いかけっこ=「CLASSY.」
タイツ問題で必ずといっていいほど出てくるのが、「男子ウケが悪い」という都市伝説。カラータイツやタトゥータイツがはやった時も「男はそういうオシャレを望んでいない」という風説の流布がちらほら見受けられました。男子ウケで腹がふくれれば社会福祉はいらないってもんですよ。いや、待てよ。いますね、“パンが無ければ男子ウケすればいいじゃない”とふんぞり返る「CLASSY.」という魔物が。というわけで、男子ウケタイツ問題を「CLASSY.」流に解決しようというのが、「これってホント?『デートには60デニールが鉄板!』」。
「寒くて分厚いタイツをはく気持ち、わかる! でもそれ、試合放棄?(30歳・コンサルティング会社勤務)」と、わかってるフリして全然わかるつもりもない“Men’s Voice”が扉ページを飾っています。さらにページを開けば「CLASSY.」の真骨頂、男のホンネ座談会がドーン。当レビューでも散々取り上げそのたびに血圧を上昇させていますが、それでも読まずにはいられない中毒性の高い企画です。
「タイツにも女らしさを注入してほしいのが男ゴコロなんです」という小見出しに続いて、本音という名の“上から提言”が満載。「僕は基本的には女のコのオシャレには寛容なつもりだけど、ボルドーとか、グリーンとかをはいているのは嫌です。そんなタイツの色にベレー帽をかぶったりしているのを見ると、『ガーリーすぎなのでは?』というふうに思う」。謝れ! 今すぐ手塚治虫先生に謝れ! しかし「女子っぽい世界観が強い人ってなんだか面倒くさそうなイメージ……」という一文には、う~ん、まぁ、わからなくもない……。
ざっくりまとめますと、“分厚いタイツをはいて、ダウンを着るのは、キャラクターというか着ぐるみ”“かといって透けすぎていると夜のお姉さんみたいでNG”だそうです。「タートルニットにフレアスカートにパンプス、というような服装に黒で透け感のあるタイツがいいなと思います。そして、コートは絶対にトレンチコート!」「あとは、男はニットワンピがやっぱり好きですよ。(中略)個人的に色は白がいいですね」って、これ完全にコンサバなザ・OLじゃないですか! こなれが全然関係なくなっちゃった!!
結局男はタートルニットにパールのネックレスをしてる女が好きだということが判明し、また完全に振りだしに戻ってしまった「CLASSY.」のタイツ特集。最後の最後で「こなれないほうがモテるのでは……?」と思わせて、また来月号では「冬には冬のこなれカジュアルがある!」という特集をしちゃうんですから、“こなれ”と“モテ”の初っ切り相撲はまだまだ続くものと思われます。そんなことしてるから、着回し特集に“農業系男子と恋に落ちるナチュラル信仰女子withタイツ”というモンスターが登場しちゃうんですよ。「CLASSY.」女子が出版社勤務のオシャレボーイを振って、泥まみれファーマーに行くとは、にわかには信じがたい! 「CLASSY.」がこなれの迷宮から脱出するのは、いつのことになりますやら。
(西澤千央)