『爆報』『何イケ』『ナイナイアンサー』テレビ業界で“不幸番組”がヒットするワケ
『金曜日のスマたちへ』『爆報!THE フライデー』『私の何がイケないの?』(いずれもTBS系)、『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)。これらはみな、芸能人の病気や借金、離婚、さらには故人の死の真相まであらゆる不幸を取り上げる、いわゆる「不幸番組」。気がつけば、この手の番組がテレビ業界に増加しているが、一体なぜだろうか?
「もちろん視聴率が取れるからです。“人の不幸は蜜の味”の言葉通り、『自分より不幸な人を見て溜飲を下げる』というのは今も昔も変わりません。ただ、私見ですが『格差社会』がさらに進んでいる今の日本では、そういう精神性がこれまで以上に顕著になっているのかもしれませんね。また現場的な話だと、この手の番組は再現VTRも交えますが基本的にはトーク中心ですから、予算も意外と抑えられます」(在京テレビ制作会社スタッフ)
先月10月6日に放送された『私の何がイケないの?SP』では、奥山佳恵が3歳の次男がダウン症であることを初告白。16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と番組最高視聴率を記録した。また、横行結腸がん(大腸がん)による肺炎のため去年3月に亡くなった女優・坂口良子の一人娘でタレントの坂口杏里が、義父でプロゴルファーの尾崎健夫との間に確執があったことを、先月の『解決!ナイナイアンサー2時間SP』で告白。これも13.5%を記録した。
視聴者の「不幸欲求」の高まりだけでなく、番組増加の背景にはタレント本人の「希望」もあるという。
「芸能界はスキャンダルが金になる世界です。時にその暴露がリスキーすぎて干されたりすることもありますが、旬が過ぎた過去の芸能人にとっては『ありがたい仕事』ですし、再浮上も狙えますので、タレント側からの売り込みもあるようです」(同)
一方、こうした番組の増加に、ある放送作家は「かつては午前中や昼のワイドショーで、こうした不幸エピソードが1コーナーで放送されていました。家に人がいない時間に主婦がこっそり見るのがお決まりだったんです。それがいつの間にかゴールデン帯にも侵食しつつある。そういう意味では、テレビ全体がワイドショー化しつつある」と警鐘を鳴らすが、視聴者、制作側、タレント……三方のニーズが存在する不幸番組は、一過性のブームから定番のジャンルを確立しつつあるようだ。
番組で、故人の死の真相を掘り返すことをテレビ業界では「墓場荒らし」と揶揄するそうだが、この先テレビ業界はどこまで過去を掘り返すのだろうか?