「吉原の遊女と子役時代の自分は重なる」安達祐実が語る、ずっと裏切りたかった“私”とは?
――「遊女」というものに惹かれてしまう女性は少なくないですが、どうしてだと思いますか。
安達 そう! すごく不思議ですよね。男の人を魅了したいんじゃないですか。現実の世界では、八方美人みたいにあっちの男性にいったり、こっちの男性にいったりは難しいから、あこがれる。女としてそういう思いは潜在的にあるのかもしれませんね。私はこの話をいただく前から単純に花魁の格好がしてみたいなとあこがれていました。「遊女役とか上手にできる気がする」って思っていたんですよ(笑)。
実際に演じて思ったのは、今の時代と違って、『花宵道中』の舞台である江戸時代末期の吉原では、恋愛をするのも命がけなんです。たぶん命をかけるほど、人を愛したり愛されたりしたいっていうあこがれもあるんじゃないでしょうか。私自身、人は情熱的に愛に生きるべきだと思うタイプなので、朝霧の生き方はすごく素敵だなと思います。たぶん朝霧が「生きている」と実感したのは半次郎に出会ってからだと思うんです。
――ただ漫然と過ごすのではなく、まさに「命がけで生きている」という感覚を得られる映画かもしれません。
安達 どの時代にいてもどの身分にいても、人を愛することがいかに大切かというのが、この作品を通して私自身も感じたことですし、そのあたりを見てくださる方に伝えられたらと思います。今回、私が映画の中で脱いでいるということで、そこが一番目につくとは思うし、もしかしたらその時点で嫌悪感を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。でも全体的にはすごく綺麗な世界観で、描かれているのは純愛なので、ぜひストーリーを楽しんでもらいたいです。もちろん、映画館まで足を運んでいただけるのなら興味本位でも何でも(笑)!
(取材・文=西澤千央、撮影=東京フォト工芸 樋木雅美)
安達祐実(あだち・ゆみ)
1981年、東京生まれ。2歳で芸能界入りし、93年『REX 恐竜物語』で映画初出演にして主演を務める。翌94年、『家なき子』(日本テレビ系)での主演が大きな話題を集める。主な出演作に『ガラスの仮面』(テレビ朝日系)、『ナースのお仕事4』(フジテレビ系)、『大奥』(同)などがある。
『花宵道中』
11月8日よりロードショー
原作/宮木あや子『花宵道中』(新潮社)
監督/豊島圭介 脚本/鴨義信 音楽/かみむら周平
出演/安達祐実 淵上泰史 小篠恵奈 三津谷葉子 多岐川華子 立花彩野 松田賢二 中村映里子 不破万作 友近 高岡早紀 津田寛治
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