「オバサンのくせに」という男の言葉に傷つく……四十路女の“年齢と自意識”を解き放つには?
家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。
【今月のお悩み】
「オバサンのくせにと、男性から言われ続けてきました」
私は、付き合う男性みんなに、「オバサンのくせに」「恥ずかしいから、君の年齢を他人にいう時に、さば読みしといた」などと言われ続けてきました。10歳年上の男性にもそんなことを言われる始末。私は男性に「オジサン」などと、年齢のことをとやかく言ったことはありません。女性は30歳を過ぎたら、オバサンと言われるのは当たり前、男性に付き合ってもらっているだけでも、 ありがたいと思わなければいけないのでしょうか。たとえ、女性に年齢のことを言わない男性でも、心の中では「オバサン」と思っているのでしょうか。結婚するためには、こうした男性からの年齢批判に耐えなければいけないのかと思うと、悲しくなります。
(みーちゃん、40歳)
【プウ美ねえさんからの回答】
お若く見えるのでしょう。「年齢以外は問題ない」という自信が、どこかに漂っておいでです。もしかしたら男性が揶揄するのは貴女の年齢ではなく、ほとばしる「オバサン」性なのではありませんか。可愛いペンネームも、かえってギラついた脂気を感じました。さてでは、鼻クソを掘りながら回答しますね。不惑といえば、孔子ですらやっと惑いを断った年です。まして現代の40歳はけっして老いていません。貴女はいまが人生で一番若い。けれど、明日はかならず今日よりも古くなります。ここはひとつ、オバサンたることの利点に目を向けましょう。
先日プウ美おねえさんは、深夜の路上で公開セックスする熟年夫婦を見ました。ご亭主は着衣で、奥様とほかの男に行為をさせていましたが、場を支配していたのは明らかに奥様でした。街灯の光に肢体をくねらせ、ゆきずり男性のふとい陰茎を受けいれるオバサン。おもわず接合部を凝視したおねえさんに向けた笑顔は、カラリと晴れやかでした。まるで酸いも甘いもかみわけたその半生で、いっさいのこだわりや恥じらいから解き放たれたよう。そう、オバサンは、自由を体現するそんざいなのです。そして世の中には、そんなオバサンらしさを愛する男性がうんといます。ぜひいちど、彼らとイタしてごらんなさい。自分を肯定できて、ぐっと楽ちんです。そのさい、容姿を細かくホメさせるのがコツです。「しなやかにたれたオッパイ」「水をはじかぬ肌の落ち着き」などを具体的にホメられれば、年齢の負い目など消えるものです。エロのついでに老いの通過儀礼を体験できるなんて、気がきいています。また、オバサンは人生に多少の失敗や汚損があっても、若い女とちがって陰惨さがなくて、いいものです。過去のあやまちは、身の上話のピリッとしたアクセントにしてしまいましょう。飲みの席などで、喜ばれることうけあいです。
「オバサンとつきあってくれる男に、感謝が必要か」というかんがえは、女性のおごりです。ぜひ、お互い感謝できる男とおつきあいなさい。「ありがとう」が言えるオバサンは素敵です。また、心の中で「オバサン」と思われてやしないか、などとオバサンが気にするのは不条理です。余計なことを言わない男性なんて、なかなかです。相手の善意を汲んで、オバサンらしく泰然としていましょう。
【今月のエブロンメモ】
ホモ界では年配男性の魅力をとうとぶ、「パパ専」というジャンルがあります。ただしその世界でも「ボクまだオジサンじゃないよ」とハリきるひと、我の強いひとは評判がよろしくありません。好かれるひとは、じぶんの役割をこころえているものです。
熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『本日もおひとりホモ。中年マンガ家生活』(ぶんか社)など、著書多数。最新刊は、作画を担当した『世界一周ホモのたび 祭』(同)。
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