Sexy Zoneの“男”路線の先に見える、「トンチキ男らしさ」の象徴・シブがき隊の姿
Sexy Zoneのシングル「男never give up」は、3人体制でリリースされた楽曲だが「♪オートーコーー、オートーコーー」と、出だしから“男っぽさ”を強調する作りだ。Sexy Zoneといえば、デビュー当初はバラを手にした王子様風ゴテゴテ衣装で「マイケル・ジャクソンのセクシーさ」を目指し、10代の儚げなキラキラに包まれていたグループ。歌う内容も、「時代をつくろう」であり、「キミはボクだけのものさ」である。光GENJI、田原俊彦的なキラキラ世界はまさにジャニーズど真ん中。
それから3年。「♪オートーコーー、オートーコーー」である。お兄さんメンバー3人で出す曲だけに、あえて「大人っぽさ」「男らしさ」を強調する意味もあるのかもしれない。「男never give up」の前に、ヤンキー系ドラマの主題歌「BAD BOYS」を出しているが、ドラマの世界観優先だったこの曲の直球さ加減とは違う、今回のこの感じ……何かに似てると思ったら、一時期のシブがき隊なんじゃないかと思う。
デビュー当時のシブがき隊は、赤・青・黄色の3色カラー衣装を着て、トンチキでありながらヤンキー要素も併せ持つ世界観で、独自の路線を突き進んだ。マッチ的な哀愁ある不良とはまた違い、「ジタバタするなよ」(「NAI・NAI16」)だったり「オッとっと 逃がしはしないぜ」(「Zokkon命」)といった、勢いでいく“イケイケ路線”。そして、リリースする曲は途中からは、そんな「だぜ」とか「じゃん」の世界を保ちつつ、日本男児の世界へと突入していく。タイトルも「男」推しで硬派寄りなものが多く、その頃のシブがき隊とSexy Zoneがちょっと重なって見えるのである。さわやか成分多めのシブがき隊というか。
そう思うと、曲のタイトルをシブがき隊と入れ替えても、意外としっくりくるような気がしてくる。
「Sexy Zoneのニューシングル! 『べらんめぇ伊達男(ダンディ)』」
「それでは聞いてください。Sexy Zoneで、『ラストコールは押忍!』」
あまり違和感ない気がする。
「シブがき隊の名曲、『男never give up』です、どうぞ」
こっちもアリな気もする。一方、「Kis-My-Ft2『男意ッ気』」「Hey!Say!JUMP『アッパレ! フジヤマ』」「ジャニーズWEST『挑発∞』」……どれもちょっとハマらない気がする。
そういえば、シブがき隊の「千夜一夜キッス倶楽部」などは、Sexy Zoneの「バィバィDuバィ~See you again~」に先駆けて、中東の世界観を表していた。もちろん異論はあるかと思うが、メンバー的にも、やんちゃ不良ポジ・ヤックン(薬丸裕英)→菊池風磨、キレイな顔のおっとりポジ・モックン(本木雅弘)→佐藤勝利と当てはめていけそう。そうなると、フックン(布川敏和)が中島健人ということになるが、お笑いポジでもあったフックンと、ラブホリキャラで笑いを取る健人、笑いの方向性はずいぶん違うが、強引にそういうことにしておく。飛び道具であり、かつドルドルしい雰囲気もプンプンというのは、“エースになったフックン”という進化形じゃないだろうか。
そんなSexy Zoneの新曲は、夜の世界を描くドラマ『黒服物語』(テレビ朝日系)の主題歌、「君にHITOMEBORE」。再び3人での楽曲であるが、ちょっと笑える男の世界路線は継続中。5人では表現できない世界だと思えば、反発の多い体制でもその意義はあるのかもしれない。
トンチキな男らしさの世界を極めたシブがき隊は、この後、歴史に残る名曲「スシ食いねェ!」に到達するわけだが、男路線を経た後のSexy Zoneがどうなっていくのか? そして編成の行方は? 気になることたくさんだ。それとも、逆に赤・青・黄のトンチキ3色路線になったりして。かもねかもねSoかもね♪
(太田サトル)