米ウォルマート、大きいサイズを「デブ女子向けコスチューム」と表記し炎上
成人の35%は肥満症で、「太りすぎ」な人を含めると、実に69%の成人が体重オーバーだと報告されているアメリカ。ファッション誌の痩せすぎモデルが若い女性たちに悪影響を与えると問題視されているが、現実にはあまり影響を受けずにぽっちゃりしている女性が多いようだ。カリフォルニア州のサンフランシスコや、ワシントンD.C.、ミシガン州など肥満者を差別しない法律を設けている州もあり、体型に関係なく生活しやすい環境が整いつつあるのだ。
世界最大のスーパー「ウォルマート」も、肥満体の人が乗る電動車いすがスムーズに通れるように通路を広くしたり、トイレを整備したりと配慮。バラエティに富んだプラスサイズ(大きいサイズ)の衣服も取り揃えており、安くておしゃれが楽しめると支持を得てきた。しかし、そんな「ウォルマート」が、ぽっちゃり女子を侮辱する大失態を犯してしまったのである。
「ウォルマート」がとんでもないミスを犯したのは、同店のオンラインネットショップの女性向けファッションのページ。「パーティー&特別なイベント」というカテゴリーから「ハロウィーン」へと進むと、なんと「デブ女子向けコスチューム」というカテゴリーが現れる。それをクリックすると、案の定、プラスサイズ女子向けのコスチュームが登場。ヴァンパイアや魔女などセクシーで楽しげなコスチュームが50ドル(約5,000円)以下というお手軽価格で紹介されているのだが、「デブ女子向けコスチューム」という文言に対し、TwitterなどのSNSで批判する声が次々と上がった。
「ウォルマート」は当初、「みなさまの貴重なご意見、ありがとうございます」という常套文句で返答。しかし、次第に批判の声が増してくると、事の重大さに気づき「申し訳ございません。決して許されることではありません」と謝罪。その後、正式な謝罪声明を発表したが、ネット上では「失礼もいいところ」「ぽっちゃり女子をバカにしているのが、よくわかった」「陰で笑ってるんでしょうね」とバッシングがヒートアップしている。
実は、ぽっちゃり女子が「ウォルマート」のような庶民派大型スーパーから侮辱されるのは、今回が初めてではない。昨年4月にも、大型ディスカウントストアの「ターゲット」がオンラインネットショップでグレーのマキシマムドレスを販売した際、普通サイズのページには「ヘザーグレー」色と記載していたのに、プラスサイズのページは「マナティーグレー」色としていたのだ。マナティーは、人魚のモデルとなった哺乳類で、とてもかわいらしい顔をしてるが、体型はずんぐりむっくり。肥満体の人間がマナティーそっくりと陰口を叩く人もいる。多くの人がアクセスするであろう人気スーパーのサイトで、侮辱を受けたぽっちゃり女子たちは、大ショックで、ネット上でバッシングが巻き起こった。「ターゲット」はすぐに謝罪したが、炎上はしばらく収まらなかった。
太りすぎや肥満症の顧客をたくさん抱える「ウォルマート」にとって、今回の失態はあまりにも軽率かつお粗末といえるだろう。ぽっちゃり女子にとって、デブは禁句。傷ついて精神的被害を被ったと訴えられることもあり得るのだ。
11月末の感謝祭の翌日のブラックフライデーは、1年を通してアメリカで最も商品が売れるとされており、クリスマスシーズンはスーパーにとって一番の書き入れ時である。正式謝罪を行い、すでに打つ手のない「ウォルマート」としては、ぽっちゃり女子の怒りが物欲に負けることを祈るのみだろう。