ジャニーズ今期ドラマ、演出も視聴率も演技力も……どの作品もちょっとずつ“ツライ”
今回ツッコませていただくのは、ジャニーズの面々が出演する今クールのドラマ。
現時点(10月21日)では、Sexy Zone・中島健人主演の『黒服物語』(テレビ朝日系)を除いて出揃った状態だ。視聴率のみ取り上げてみると……。
・『地獄先生ぬ~べ~』(関ジャニ∞・丸山隆平主演、Hey!Say!JUMP・知念侑李出演/日本テレビ系)初回13.3%、2話7.9%
・『ごめんね青春!』(関ジャニ∞・錦戸亮主演、ジャニーズWEST・重岡大毅出演/TBS系)初回10.1%、2話7.7%
・『信長協奏曲』(Kis-My-Ft2・藤ヶ谷太輔出演/フジテレビ系)初回15.8%、2話13.5%
・『きょうは会社休みます。』(KAT-TUN・田口淳之介出演/日本テレビ系)初回14.3%
・『ファースト・クラス』(Hey!Say!JUMP・岡本圭人出演/フジテレビ系)初回8.8%
・『平成舞祭組男』(Kis-My-Ft2・舞祭組主演/日本テレビ系)2.9%
(※全てビデオリサーチ調べ、関東地区)
曜日や時間帯の枠の違い、主演と“チョイ役”の違いなど条件が異なるため、数字で語れない部分は大きいが、まず見逃せないのは、現時点で最大の話題となっている『地獄先生ぬ~べ~』の初回から2話にかけての落差だろう。
さまざまなお付き合い事情が見えるキャストてんこもり状態に、前評判から不安視する声は多かったが、フタを開けてみると、予想以上にどうにもつらい。出演者たちの演技力もさることながら、「ありのままで」の乱発や、速水もこみちのオリーブオイル使い、『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)への便乗やら、何もかも寒くて、どうしたものやら思案中だ。余談だが、知念の栗田まこと役はオイシイ。
対して、初回から低視聴率街道まっしぐらなのが『ごめんね青春!』。もともとクドカン脚本ドラマは、原作つきやNHK朝ドラ『あまちゃん』のような制約がない作品に関しては、クドカンが自由に遊びすぎることから、一部ファンに熱く支持される替わりに、数字は取れない傾向がある。さらに、下ネタが結構あることで、枠との相性から数字を取りにくいこと、演出に『Stand Up!!』(TBS系)など2000年代前半を思わせる古いノリがあるのは否めない。
だが、それにしても残念なのは、書類送検が報道されたばかりの山下智久関連物件として、主演・錦戸を「積極的に避ける層」がそれなりにいて、チャンネルを合わせてもらえないこと。過去にトラウマを抱える、繊細で少し哀れな感じの役は、錦戸にハマッているし、錦戸が高校生を演じる姿がどういうわけか「現在」よりも老けて見えるところも味わい深い。クドカンワールドならではの小ネタ満載&「男子校ノリ」も楽しいし、内容は悪くない。共演の重岡も、ニヤニヤ情けない感じがキュートだ。このまま数字が良くなる気配はないが、十分楽しめるドラマだと思う。
そして、もう1つ残念なのは、『平成舞祭組男』である。通常はジャニーズJr.が出演することが多い枠に、デビュー組が出演しているにもかかわらず、前作『近キョリ恋愛』よりもチープな作りなのは、なぜなのか。『近キョリ恋愛』は映画と連動しているということもあるだろうが、このチープさはドラマというよりそのまま『UTAGE!』(TBS系)だ。あるいは、カラオケ映像のようにも見える。ブサイク売りだからこそ、きちんとお金や手間をかけて、かっこよく作ってあげる方が面白くなると思うのだけど……。
キャラの濃い女性陣の中で、1人「棒」っぷりが浮き立っている『ファースト・クラス』の岡本は、濃厚な料理の合間につまむスナック菓子のようなものか。また、『きょうは会社休みます。』の田口も、たいがい棒演技だが、相手役・福士蒼太の棒演技の方が強い印象なので、さほど気にならない。
そんな中、初回で最も面白かったのは、『信長協奏曲』の藤ヶ谷だ。豪華(なはずの)メイン出演者たちとともに『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)へ番宣に来ていたにもかかわらず、初回の出番はわずか数秒! 視聴者の間では「エキストラかと思った」という声もあったほどだが、そんな数秒間の出番でも目を輝かせてうれしそうに演じていた様子は、ちょっと泣けた。
今のところ、みんなが別々の意味でちょっとずつツラそうな今秋のジャニーズ出演ドラマ。今後も静かに見守っていきたい。
(田幸和歌子)