カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」11月号

“ママ度”を調節して人間関係を生き抜く! 「VERY」の世渡り上手すぎるファッション術

2014/10/19 21:00

■滝沢メソッドはママ以外にも使える!

 滝沢眞規子さんの連載コラム「タキマキの目指せ! ニッポンのお母ちゃん」が、どんどん面白くなっています。それは多分、どこかから借りてきたような話ではなく、滝沢さん自身の考えを自分の言葉で書いているから。

 さて、今月号で滝沢さんは、「子供の食」について書いています。「子供の食が細い」と悩むママが多いそうですが、滝沢さんは、我が子を好き嫌いのない子に育てることに成功したそう。その秘訣は、「無理に食べさせないこと」。子どもがダラダラと食べているようだったら、お皿を下げる、これを続けたといいます。すると、食べ物に感謝をして、好き嫌いなく食べるようになったんだとか。

 この「滝沢メソッド」、子どもの好き嫌いを治す以外にも使えるかもしれません。最近「女子の価値」が下がっているのか、男から舐められる女子が増えたといった話をよく聞きます。何をしてあげても彼氏に「当たり前」と思われ感謝されない、上司からのセクハラを適当に笑ってやりすごしていたらつけあがられた――そんな場面で、この「滝沢メソッド」を使ってみたら、舐められたりしなくなるんじゃないか、と。

 滝沢さん自身、見た目はかわいらしく甘い雰囲気があるけれど、「でも舐められはしない」女性だと思います。 それは、何も子どもに対してだけではなく、男性や仕事に対しても、受け入れられないことや理不尽なことには、ちゃんと「NO」と言う強さを持っているからなのかもしれません。

■主婦の問題意識をくすぐる企画たち

 この「VERY」レビューでは、ここ1年くらい「VERY」が賢さを求めたり、フェミ化が進んだり、社会に対して問題意識を持つようになってきた……と指摘してきました。

 今月号では、その傾向が顕著に。夫と死別した妻に焦点を当てた「夫に先立たれて、私の『それから……』」、憎むだけではない一歩進んだ母親との関係性を問う「それってマミーフィルターかも?」、エクゼクティブ・コンサルタント(なんじゃそら!?)のロイス・クルーガー氏に子育てを聞く「“世界に必要とされる人”の育て方」、自然分娩礼賛に一石を投じる「働くマタニティの関心事No.1!無痛分娩事情」、“ホカツ”をテーマにした辻村深月さんの連続小説「クローバーナイト」などなど……元NHKアナウンサー・堀潤さんの連載でも、辻仁成さんをゲストに迎え、震災支援について語り合っていました。本当に、良くも悪くも「意識が高い」。知的探究心があることが、「VERY」妻にとってを輝かせる、一種のオシャレだとでも言われているようです。

 ほかの雑誌でも、こういったさまざまな問題に斬り込む企画を試みているように思いますが、まだまだ「VERY」ほどは定着していないと思います。「VERY」ではもはや、毎号こういった企画があること自体、“当たり前”で、何が特集されていても驚かなくなりました。

 なぜ「VERY」だけが、「意識の高い」誌面作りに成功しているのか。それは、「VERY」の読者層である「主婦」「ママ」という立場には、子どもの安全、夫婦間の人間関係、ママの友達関係など、問題意識をくすぐる悩みが多くあるからでしょう。他者との間に生じるこれらの問題を解決するため、賢くなろうとするのは、「自分磨き」「趣味としての知性」とは一線を画す、高尚なものと「VERY」では思われているのではないでしょうか。「VERY」がこうした企画を作れば作るほどに、読者は自分が「主婦」であり「ママ」であることに、さらに誇りを持つようになる仕掛けになっているのかもしれません。
(芹沢芳子)

最終更新:2014/10/19 21:00
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