“ママ度”を調節して人間関係を生き抜く! 「VERY」の世渡り上手すぎるファッション術
「ファッションの秋」だからでしょうか、今月号の「VERY」(光文社)の厚みはすごい。2センチ以上はありそうです。持って帰るのも大変ですが、家で読むのも結構な労力です。それだけ広告がたくさん入っているわけですが、それも一見広告とは思えない。最終ページにある「お問い合わせ電話番号」を見て、初めて「あ、これって広告なんだ」とわかる作りになっています。広告でもファッションページとして十分参考になり得るのが「VERY」の特長。ほかの雑誌にはないこうした細やかさが、雑誌を分厚くさせるのでしょう。
<トピック>
◎私たち、黒が好きになったんです!
◎タキマキの目指せ! ニッポンのお母ちゃん
◎夫に先立たれて、私の「それから……」
■黒を避け続けていたらしい「VERY」
今月号の第1特集は「私たち、黒が好きになったんです!」。「VERY」にとって“黒”とは、「モードな人のもの?コンサバで落ち着きすぎて見える?子供ウケが悪い?」と思っていたようで、「あえて積極的には黒を取り入れてはこなかった」としています。しかし今回、「もはや、暗い、老けるというイメージを覆す、カジュアルに似合う黒のオシャレがある」と、あらためて黒という色を見直そうと、特集が組まれたようです。
この特集で新鮮だったのは、黒を取り入れることで「ママっぽさをマイナスすること」を狙っているところ。「VERY」は一貫して、ママであることにアイデンティティを置いているのに、なぜママっぽさをなくそうと……? と思うかもしれません。しかし、この特集を読んでいると、臨機応変に自分の中の「ママ」をプラスにマイナスにと調節できる女性こそが素敵だと、「VERY」は提唱しているようなのです。
例えば、ちょっとカッコイイ男性が現れた場合。見た目の第一印象では、「ママ」をマイナスにすることで、男性に「いい女がいる!」と思わせる。しかし、話をする段になったら、落ち着きある「ママ」をプラスにする。すると、いまどきの男性にも「ものほしそうな独身女性とは違う」と一目置かれる……ということなのでしょう。
また女性同士の関係性においても、「ママ」の調節は必要かもしれません。独身や、子どものいない女友達の前で、ママとしての私を主張しすぎると、ギクシャクすることも。逆に、ママとしての私を控えることで、もっと親しくなれる可能性もあります。
自分の中の「ママ」をうまく使いこなすことが、さまざまなシチュエーションで生きてくる。少子化が叫ばれている中、やはりママであることが、女にとって最も強いカードだと、「VERY」はよ~く知っているのです。