ジャニーズ香るアニメ『少年ハリウッド』が説く、アイドルにとっての“ファンサ”とは?
『少年ハリウッド』(TOKYO MXほか)というアニメ作品がある。<このお話は、劇場“ハリウッド東京”を拠点に活動するアイドルユニット「少年ハリウッド」が巻き起こす、ドタバタ青春アイドルサクセスストーリー!>(公式ホームページより)ということで、主役は5人組男性アイドルグループ「少年ハリウッド」のメンバーたち。男性アイドルグループ、事務所は原宿、ミュージカルや歌番組に出演などなど、ジャニーズやD‐BOYSあたりを思わせる設定だ。でも事務所の社長は、「YOU」とか「しちゃいなよ」などは言わない。社長はかつて人気を誇った同名グループのメンバーであり、現在は“新生少年ハリウッド”の成長をサポートしている。ジャニーズ的に言えば、ヒガシが社長になって、2代目少年隊を育てているようなものか。
すでにいろいろとジャニっぽいのだが、番組主題歌の「ハロー世界」という曲。これになんというか、すごく“ジャニーさん的空気”を感じる。タイトルのワールド感、なのに謎の和洋折衷感。まさに「ジャニー的」。考えてみれば「少年ハリウッド」という番組タイトルもまた、ジャニー感覚満載かもしれない。「ハ~ロ~~ハロー、せ~~かい」という、能天気なリフレインがじわじわとクセになる。ここだけ思わず口ずさんでしまうような、聞きようによっては、ジャニーズの舞台のテーマ曲みたいでもある。
さて、9月28日放送回。いよいよ前日にデビューコンサートが迫った。少年ハリウッドメンバーそれぞれが過ごす、緊張と不安が混じった前日の様子が描かれていたのだが、気になったのはメンバー・カケルの描写だ。
「みんな! 今日は来てくれてどうもありがとう!」
実家で自室のベッドの上に立って、丸めたタオルか何かをマイクに見立て、MCの練習をしている。
「みなさん、今日は来てくださって、どうも……まことに……堅いか」
「ホントにアリガトウ!」
ジャニーズのタレントが同じようなイメトレを自宅でやってると妄想すると、結構面白い。NEWS・手越祐也の「子猫ちゃん」とか、Sexy Zone・中島健人が「セクシーガール(はあと)」とか、Hey!Say!JUMP・山田涼介が「ヴァンパイアッ」なんてやっている姿を想像してみてください。もちろんベテランのV6で「セクシッ」でも。「東京ドーーーム、騒げ~~!」なんて煽りも、6畳の部屋で練習してるかもしれないと思うと、何かしらの萌えが発生しそうである。
そしてカケルくんは、自宅での熱演がすぎて、妹に「うるさい!」とキレられてしまうが、結局見てもらうことに。「ありがとう! ありがとう! 今日は本当にありがとう!」「僕は最初、アイドルなんて自分には絶対に無理だと思ってました」など、いろいろ挨拶をやってみせたところで、「全然ダメ」「表情が硬い」とダメ出しが飛ぶ。
「うちわ激しく振りちらかす人とか、MCのとき、1人だけ声張って声援を何度も送ってくるコにばっかファンサせずに、今のワタシみたいに、キャーキャー言わない子にも目線送ってあげたり、優しくしなさいよ」
さらに、「ファンにはいろんな人がいるの。みんなが自己主張できるとは限らないんだから。そこにいる人みーんなに届くようにしゃべんなさいよ」と妹が説く。ファンサとは何か――すごく的確なアドバイスだ。
「みんなに届かない声は、たった1人にも届かないの」
いいこと言うなぁ、妹よ。
ジャニーズの“ジャ”の字も出てこないけれど、疑似視点でも楽しめるかもしれないこの番組。残念なことに、この回で最終回だった。しかし、エンディングで、「2期決定!」の文字が。2015年1月から、また「ハローハロー世界」ワールドが、味わえる模様です。
(太田サトル)