カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」10月7日号
友情特集のはずが、どうしても男女のいざこざに着地する「婦人公論」
2014/10/05 19:00
と、もっともなことを言っていますが、柴田のように確固たる信念を持たない一般の女性は、いくつになっても「恋と友情」の狭間で揺れていたいものです。思い当る節のある方はぜひ「読者体験手記 老後の絆を失った瞬間」をお読みください。「女の勘は鋭い。隠し通した恋愛がバレ、彼女は夜叉の形相を見せた」は、仲良しカラオケサークルでの恋のいざこざが友情に大打撃を与えてしまったというお話。T子が密かに思いを寄せていたSさんと深い仲になってしまった私……こう書くとまるで大学生同士の三角関係のようですが、よくよく読めば「初めはSさんのことも普通のおじいちゃんとしか思えず、関心もなかった。それなのにいつしか、深い仲になっていったのだ」「この歌のテープ、Sさんからもらったの」「カラオケはボケ防止と人のふれあいを兼ねた、最良の遊び」などなど、「おじいちゃん」「テープ」「ボケ防止」……70代やないかい!! しかもそんなT子に思いを寄せている別なおじいちゃんまで登場して、これはもう「ビバリーヒルズ老いらく白書」。たとえどんなに年を取り、経験を重ねたとしても、自立して自律した清々しい友情関係なんて存在しないということがわかって、ホッと胸をなでおろした次第です。
江角マキコのママ友問題然り、とかく揉めがちな女と女、女と男の友情関係。それでも「結局死ぬときゃ1人」と肝が据われば、そんなトラブルさえも愛おしく感じられるようになるのでしょうか。できれば死ぬ間際まで「あいつに貸した3万円、まだ返してもらってない!」と騒いでいたいものです。
(西澤千央)
最終更新:2014/10/05 19:00