コラム
[連載]安彦麻理絵&田房永子「オンナの絵日記」

逃げ出したい願望が渦巻く夜、「全てを捨てた!」気分に浸る“ひとり回転寿司”

2014/10/16 21:00

 こういう時、母親側の嗜好って一切無視、切り捨てるのが当然、「赤ちゃんのためでしょ!!」っていう圧力マジすげーんですけど! 笑い声や楽しい音楽や芸術的な色彩が流れてくるテレビより、悪影響な音や映像ってほかにもたくさんありますよねー。例えば、常に威張りくさってるパパがママのことを日常的に「ブタ」と呼んでいる、とか、そして普段はおむつも替えないパパが自分の両親と会う時だけは率先してボクを抱っこし、パパ家族全員でママを奴隷のようにあごで使う光景、とかさあ……!
 
 そういう、親自身がまず向き合わないといけない問題があったとしても、育児の上では「テレビ見せない」をやってればいい、みたいなことになってて、それって実はものすごい簡単じゃねーのかい?! って感じ! そういう「赤ちゃんへの悪影響」パンフ作ってる方も、「妻のこと、『ブタ』って呼んでませんか……<夫婦間のモラハラは赤ちゃんに悪影響>」とかより、「テレビ見せないで」「スマホに子守させないで」って言う方がお手軽ですよね~。

 秋葉原事件の加藤(智大被告)のことを「テレビを見る世代の弊害」って書いた専門家がいたんだけど、加藤は自書(『殺人予防』、批評社)で、「母親による絶対的・徹底的情報統制」によってほとんどテレビを見させてもらえなかったし、テレビを見て育ってない、って書いてました。「本当に問題なのは、テレビなどを見て世の中を広く知る機会が得られなかったこと」って書いてましたよ!   

 特に0歳育児って、母親も引きこもりがちになって、赤ちゃんとずっと2人きりで、社会から遮断されたような感じになるし、出掛けるっつっても児童館とか図書館とか、「聖なる場所」しかないし、「俗っぽさ」に触れる機会がないですよね。テレビって、そんなママが社会とつながるのに打って付けだと思うんですけどねー。

 子どもにテレビを見せようよ! って言いたいわけじゃないんですけど、あの「子どもにテレビは悪」って説が謎なんですよねー。テレビは全部お膳立てしてあって、一方的なショーを見せられるだけだから、テレビ見せると黙りこくってコミュニケーションが取れない子になる、言葉の発達が遅れる、とか言うけど、けど、赤ちゃんってそもそもしゃべれないんだから、テレビ見せたら言葉が遅れる、って理屈がまったくわからないんですよ。

 いやいや、あんたらパンダに性交の映像見せてやり方を教えようとするじゃないか! って話ですよ。石川遼くんの、ただ聞くだけで英語が上達する「スピードラーニング」はどうなるんだよ?! って話ですよ。アレはなんかいろいろいわくつきですけど!

 子どもとテレビ見てアハッアハッ! って笑いながらご飯食べるのって楽しくていいじゃんって思うし、「楽しい」って、心と体と脳、全ての栄養になると思うから、その家庭ごとに、その親がそれまで生きてきた中で感じた「楽しい」の基準で、やってけばいいんじゃねーのって思いますねー。もともとオーガニック料理が好きで食ってる人がいい育児ができて、私みたいにテレビ大好きでそこから恩恵を受けてきたと思ってる人が、いい育児ができない、なんて、その辺の小児科医のオッサンに言われたくないんですよ~!

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