大久保ニューの【美のぬか床】 第17回

マクロビパーティーの“仕切りベジ”なる傲慢女に感じた、野菜でも脱臭できない臭みの元

2014/09/27 19:00

 そして、本題のスムージー。娘先生、語る語る。本当にスムージーが好きなんだなあという熱量を感じたが、「私のスムージーは食べるスムージーです」とか 「私のスムージーはトッピングにこだわりがあります」とか、全てに「私の」を付けてくるのは、たとえセンター狙いだろうと、あざとすぎな印象。どんどん 「私のスムージー」という言葉が隠喩に聞こえてくる。しかし、知らなかった情報をたくさん得ることができた。「ミキサーには水気の多い果物から順に入れ る」とか「葉もの野菜は連続で同じ物を使わないようにする(かえって体に悪い場合もあるらしい)」とか。さて、いよいよスムージーが完成し、ウワサのトッピング。何を乗せるのかと思えば「ブドウとミントを飾る」ということだった。先生……これほかでもよく見ますけど? そしてお味はと言えば、うん、とてもおいしい。しかし「食べるスムージー」ってのも、スプーンを用意されたけど、ブドウをすくう時に使っただけで、普通に ゴクゴク飲めるよ? オリジナルを打ち出すって本当に難しいことだなあと痛感する。

 スムージー講座が終了。先生が「スムージーも発酵しやすいので、1食と考えて、次の食事には2時間近く空けてください」と言っていたのに、間髪入れずにお食事タイム(先生、裏で怒られなかったかちら)。料理を作ってくださった男性料理人からの挨拶がある。これまた本当に料理を作るのが楽しいというのが満面 の笑顔から伝わってくる好男子。心のいいねボタンを連打しながら、私も写真を撮りまくった。そして待望の食事。まずはサラダから。やはり「特別な栽培法」で作られたお野菜を、「特別な栽培法」で作られたしょう油と亜麻仁油を混ぜたドレッシングでいただく。お高いので買わないでいたが、亜麻仁油はコクがあって おいしい。もちろん場内のあちこちから歓喜の声が上がっている。私も負けじと「シンプルだけどおいしいね☆」とか言ってみた。もちろん、料理人男子に気に入られたいからだよ☆

 そして、卵とツナ2種類のサンドウィッチと、ハンバーガー。もちろん、卵も肉も使われていない。豆腐をターメリックで色付けしたものを卵に見立て、大豆でできたベジハムをツナやハムに見立てている。どれもおいしかった。しかし、何かモヤモヤしたものが残る。何で野菜以外のものに見立てるのだろう。野菜が好きなら、普通に野菜サンドでいいじゃないか。なんだか色事を禁止された坊さんが、少年に女装させて愛でるような、ねじ曲がった情欲を感じてしまう。「わ、 本当に卵みたい☆」って賞賛は、野菜にとってはうれしいことなのだろうか。こんな否定的な考えになってしまったのは、「5,000円でメインがサンドウィッチかよ!?」という貧乏体質のせいかもしれない。

 サンドウィッチだけでも腹はかなり満たされた。しかしそこからスウィーツタイム。小麦粉を使わない「グルテンフリー」のクッキーが2種類。豆乳クリームや ドライフルーツが乗っていて、見た目も可愛い。固めの食感だが、味もいける。そして間髪入れず、米粉で作られたというパンケーキが2種類。紅茶風味のクリームがかかっていたりと、シャレている。さらに、主催者の女性もチョコ味やパンプキン味などのパンケーキを焼きだして、次々と何種類ものパンケーキが皿に乗る。サンドウィッチ数種類の上にパンケーキ数種。パンパンパンパンパン。さながらパン地獄であった。そういえば、料理人男子は恰幅のよい体型で、お客さんたちも特に痩せているというワケではないなーと思ったら、みーちゃんが「食材には気を遣うけど、カロリーを気にしないので、マクロビでドヤってる人は体型 がバイーンとした人が意外と多いですよ☆」と教えてくれた。まあ、カバもゾウも菜食だものねえ……できれば食べ合わせにも気を遣っていただきたいものだわあ。

『朝つめるだけ 玄米と野菜の「ゆるマクロビ」弁当』