コラム
角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第72回

子どもがずっと家にいる夏休みがストレスなら、託児利用は“悪”じゃない

2014/09/06 16:00
私が子どもの頃に着ていた服を、娘に着せてみました。ドレス的な服ばかり着ていた幼少期だっただけに、現代ではホテルぐらいしか着る場所がありません(苦笑)

 とうとう新学期が始まってしまいました。久しぶりに朝5時半に起きたら、日中眠くなって、リズムがなかなか取り戻せません。せっかく上手になった卵焼きも、40日間作らなかったせいで、へたくそに逆戻り。時短お弁当のため、朝になって急に「からあげが食べたい」と言われたって、無理というもの。

 なので、前日に娘と弁当の打ち合わせをすることにしました。例えば前日に「ごはん類はたらこのふりかけおにぎり、肉類はからあげ、野菜類はプチトマトときゅうり」とリクエストがあれば、足りない栄養素を考えて、副菜を決めます。まー、そんな料理が得意ではないので苦戦しています。インターナショナルスクールに通わせているママと話すと、「お弁当なんてパンとピーナッツバターで終了よ」と言っているので、日本の学校に通う子は、昼間っから栄養が摂れて幸せなんだと思います。

 夏休みは、子どもの希望と親の希望を合わせ、甲府で桃狩り、神奈川の海、大阪、お台場といずれもお泊まりし、ちょこちょこ旅行をして遊びました。「夏休みになると子どもが毎日家にいるので気が重い」、最近はそんなことを思う母親が多いそうです。うちは働いていますが、家業が保育園なので、夏休みは保育園に毎日連れていきました。確かに娘が視界に入ることで、仕事に集中できないし、「お母さん、お母さん」と家にいるときと同じように何度も呼びつけるので、仕事の効率は落ち、仕事にはなりませんでした。ただ、学校のある時期は、寝るまでの間に一緒にいられるのは3時間ほどしかないので(遠方の学校のために、早寝早起き)、1日中一緒にいられた40日間は本当に幸せでした。「もっと一緒に過ごしたい! もっとかわいい時期の娘を見ていたい!」と思いましたね。憂鬱になっているのは、働いているママではなく、専業主婦、それも幼稚園児のママのことだと思います。

 でも、私も金銭的には憂鬱になりましたよ! 保育園の横にイタリアンレストランがあるのですが、看板を見ては「お母さーん、“黒アワビ入荷しました”だって。アワビ大好きなんだよね」と言うし、「『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)の時計がほしい、青色のほうネットで探しといて~」(←プレミア商品のため1万円!)などとおねだりするし。子どもの食欲、物欲を叶えるには、お金がいくらあったって足りません。学校に行っているときは、土日しかねだられないのですから、その点は楽。

 小学校の働いているママたちは、おしなべて東急グループの「キッズベースキャンプ」という民間学童に毎日通わせていますね。普段の学校帰りはもちろん、夏休みも週5で通い、「夏休みは保育料だけで6万円かかるわー」と言っていました。働くママの傾向として、普段一緒に過ごせていない分、休日は旅行に奮発したり、子どものしたいこと、行きたいとこ、ほしいもの、食べたいものを全部かなえようとします。罪悪感の表れでしょうね。

■娘が意外にも喜んだデパートの託児所

 そういえば、顧客1人あたりの消費額が最も多いといわれるデパートの玉川タカシマヤでは、夏のセール期間中、イベントホールに臨時託児所ができていました。預ける予定はなかったのですが、娘が「おもしろそうだから行ってみたい!」というので、急遽預けることにしました。1歳から8歳までで保育料は一律1時間1,000円。相場からするとかなり安いですね。

 入り口で、名前、住所、緊急連絡先などを記載し、預ける場所まで親が連れていきます。靴と荷物を棚に置き、子どもは入っていきました。おもちゃ以外に、塗り絵などをする製作ブースがいくつかあり、遊びたいものを子どもが決め、好きなブースの所にいくようです。「次の“ようかい体操”は4時~」とも書いてありました。赤ちゃんは囲いのある別ブースに分かれていて、中心は幼稚園年少以上って感じ。みな楽しそうな雰囲気です。

 時間になり迎えにいくと、「もっと遊びたかった!」と娘は言っていました。臨時託児所があることは来る前から知っていましたが、預けるのはかわいそうと思って、はなからあきらめていただけに、娘の反応が意外でおもしろかったです。しかも、前日に神奈川県川崎市の日帰り温泉「湯けむりの庄」で仲良くなった小学2年生の女の子にも遭遇したみたいで、喜んでいました。娘は私に似てリサーチ癖があるので、「学校どこ?」などと聞いていたみたいで、私に「あの子も私立だったよ」と頼んでもいないのに報告してくれました(笑)。

 こんなに楽しんでくれるなら、親の買い物に付き合わせるよりよっぽどいいですよね。親もゆっくり買い物ができるし、いいサービスだなと思いましたね。小学生にも対応しているところがすごいです。子どもとずっと一緒にいることで、ストレスを感じる人は、子どもと離れる環境をあえて作るのはどうでしょうか? こうした一時預かりやシッターを利用するのもいいですし、夏はサマースクールに行かせるのも自分に罪悪感を感じさせない手です。親に預けると、行き先を聞かれたりするので、それはそれで面倒ですし。子どもの前で笑顔でいるのは、母親の務め。笑顔でいられないときは、第三者を頼るのがいいかもしれませんね。

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では6歳の愛娘の子育てに奮闘中。 

最終更新:2014/09/06 16:00
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