SMAP・木村拓哉はカブトムシ、嫁は「あの程度」――迷言、暴言連発の“守護霊”本レビュー
「架空インタビュー」という手法は、昔からあるものだ。しかし、架空とはちょっと違う、本人の“守護霊”がインタビューに応じるというのは、ある種の“発明”かもしれない。本人でなく、その守護霊が語っているわけだから、いろいろセーフなんだろう。
幸福の科学出版では、これまでにも著名人の守護霊インタビューをたびたび敢行、書籍化もしているが、ここへついにSMAP・木村拓哉の守護霊が登場した。その名も、『俳優・木村拓哉の守護霊トーク 「俺が時代(トレンド)を創る理由(わけ)」』。表紙には、「……っていうかさぁ 俺の霊言マジで出すの?」と書いてある。木村の守護霊を呼び出すのは、「幸福の科学グループ創始者兼総裁」大川隆法だ。
さて、登場した守護霊はまず木村拓哉の守護霊かどうかと聞かれ、「ということになるんだけども」と返事する。ちょっとキムタクぽい返しだ。この守護霊が語るには、関ジャニ∞・錦戸亮の守護霊が「キムタクの時代はもう終わったから、俺のほうを売り出したほうが得になる」と言い出し、どっちが出るかでバトルになったらしい。錦戸の守護霊はちょっと失礼のようだ。
■木村ドラマは見ている人の同情で成り立つ
守護霊は早速、キムタクの演技について「まあ、演技が下手なところだね、はっきり言って」「諦め切ってる」と話す。演技は上手ではない、でも地のまま、自己流で演じる=キムタク流なのだから、これを貫くことが大事だと何度も語る。「『キムタク流』は、『自然流』、『天然流』だな」とも評していた。
気になるのは、キムタク本人ともちょっと違う粗野な語り口だ。「ほう」とか、「君ぃ」とか、「ぜよ」なんてのもある。「ちょ、待てよ」だの「メイビー」だの「よろしこ」だのといった、ものまねのキムタクに流れないところはさすが守護霊である。
守護霊的には主演作『安堂ロイド~A.I.knows LOVE? ~』(TBS系)はイマイチはまらなかったのか、「失敗作かも」とし、「まあ、『俺にやらせたら、失敗作でも、何とか採算がとれる』っていうとこが、いいとこなんだろうねえ」と結論づけた。やけに達観、客観視している。この作品がとても気になっているようで、一旦話が終わっていたにもかかわらず、終盤にもまた「キムタク流」の演技の流れで、
「あの人は、何をやっても『キムタク』にしかすぎない。武蔵をやろうが、アンドロイドをやろうが、キムタクはキムタクだけど、アンドロイドであると見てあげなきゃいけないんだ」
「『この人は、未来ロボットを演じているつもりなんだな。気の毒だから、未来ロボットだと見てやろう』と思って、観る人のほうが同情し、『未来ロボット』だと見てくれる」
……そこまで卑下しなくても。ただ、そこには木村ならではの人を惹き付ける「蜜」の部分があるんだという。
「俺のなかには、そういう、『甘い蜜』があるんだ。自己流なんだけど、蝶々とか蜂とかを集める蜜があるんだと思うね」
だからその「ハチミツに当たるようなもの」を見つければいいと、守護霊は語っている。