明石家さんまら大御所までもが飲み込まれる、キムタクの圧倒的スクールカースト上位感
「感動した」「テレビで初めて泣いた」「SMAPってやっぱり素晴らしい」など、絶賛の声が続出し、視聴率も20%超えを記録、よせば良いのに「Twitter自作自演」のオマケまでついてしまった『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)。今回は、『27時間テレビ』であらためて明石家さんまと木村拓哉の関係性にツッコませていただきたい。
もともとこの2人、2003年に始まった『さんタク』(同)でおなじみの仲で、キムタクはさんまを「おじき」と呼んでいたり、さんまが最近、キムタクのことを「どっちも墓場まで持って行く話をし合った」「親友」と語ったことが報じられていたりもした。
『27時間テレビ』では、「さんま・中居の今夜は眠れない」において、明石家さんまのことを好きなAV嬢に木村が囲まれ、下ネタを連発させていたことで、「好感度が上がった」「親近感がわいた」という意見も続出していた。また、SMAPにひどい無茶ぶりをするさんまに「さすが、さんま!」という声も多かった。にもかかわらず、なぜだろう、キムタクとさんまのからみを見ると、どこか切なさを感じてしまう。
キムタクが、ドラマでもバラエティでも、いつでもどこでもきちんと「キムタク」であることは、本当にすごいと思う。『27時間テレビ』でも、結構な下ネタを言うときにあえてキュートな笑顔を作ってみせるなど、力の入れ方・抜き方も完璧で、「キムタクのプロ」を見事に演じきっていた。にもかかわらず、そのキムタクプロを前にすると、相手がなんだか面白くなくなってしまうのである。
例えば、うるさがたの気難しいベテラン俳優・女優も、なぜか飼いならされたようになってしまうし、お笑いモンスターのさんますらも、かなり乱暴な扱いをしたり、荒いツッコミをしたり、近い距離でじゃれついたりしながらも、キムタクに対しては常にうっとりしてしまっているように見える。ある種、媚びにも近い、うっとり感。各界の大御所すらも、なぜかキムタクには気に入られよう・好かれようとしているふうに見えてならないのだ。
その理由は、おそらくルックス云々ではなく、キムタクから放たれる独特の「スクールカースト上位感」「イケてる感」みたいなものなのではないかと思う。キムタクと一緒にいることで、クラスのイケてる層に入った錯覚を持つような感じというか。
というのも、オンもオフもなく、常にお笑いと自分にしか興味がない“お笑い怪獣”の明石家さんまが、時折、「二枚目半」になってしまうのが、以前から気になっていた。たとえば、『男女7人夏物語』『男女7人秋物語』(ともにTBS系)などの俳優業で見せる、目を細めて口を半開きにして「もう遅いねや……」とアンニュイに語るテンションがソレで、キムタクと一緒にいるときには、その「二枚目半」が発動してしまうように見える。
もちろん、キムタクの他者に対する細やかな気遣いや、仕事熱心さ、泥臭いまでのど根性ぶりなどへのリスペクトが、相手にそうさせるところはあるのだろうが……。いつでもどこでも、誰といても、変わらない「キムタク」。そのブレない軸に、大御所もみな飲み込まれてしまうのだろうか。
(田幸和歌子)