サプリメントアドバイザーに聞いてみた

「イソフラボンは効果ナシ!?」PMSの“イライラ”撃退サプリ、ピル選びのコツと罠

2014/07/21 16:00

――サプリではないのですが、ピルはどうなのでしょうか?

小浦 月経痛軽減や子宮内膜症改善の効果は期待できますね。ピルはエストロゲンとプロゲステロンを含むお薬です。月経痛に関しては、ピルを服用することで排卵が止まり、その結果として子宮を収縮させるホルモンの出過ぎを抑えることで改善するようです。PMSに関しては、ピルを服用することでホルモンバランスが変わり、症状が表れにくくなる人もいるようです。

――それでは、小浦先生から見てPMSに効果が期待できるサプリを教えてください。

小浦 ビタミンB群とチェストツリーです。ビタミンB群は疲労回復、精神安定の効果があります。チェストツリーは先ほどお話した、PMSの時期に優勢になるホルモン「プロゲステロン」を助ける働きなどがあり、症状緩和が期待できます。今年の春に登場した、日本初のPMS治療薬の成分としても、チェストベリー(チェストツリーの実)が使われているんですよ。

 普段の食生活で栄養バランスが取れている人は、ビタミンB群やチェストツリーでよいですが、食生活が乱れがちな人はベースサプリ(マルチビタミン・ミネラル)を組み合わせてみてもいいですね。ただ、本来病院に行く必要のある重い症状を、サプリでごまかしてしまうのは本末転倒です。健康のサポート役としてサプリを上手に活用していきたいですね。


■サプリの広告文句の大きな罠

――毎日体に取り入れるものなのに、サプリの宣伝文句はあいまいですよね。薬のようにどこに効いて、どう改善するのかがわからない。

小浦 現在の薬事法では、薬以外のもの(健康食品やサプリ)は広告で「特定の病気の名前を出す」ことや、「体の部位や、測定可能な検査値(血圧、血糖値、体脂肪等)が改善すると言う」ことができないんです。つまり、「PMSが改善します」とも言えません。「女性特有のモヤモヤに」みたいな、それこそモヤモヤした書き方になってしまうんです。

 もう1つ薬と違うところは、表示している成分の量と実際に含まれる量の誤差の大きさですね。薬の場合、成分含有量の誤差は厳しく管理されています。一方サプリは、ビタミン・ミネラルの表示に関しては、成分によって80~150%までの誤差が許されているんです。それを考えると、全ての製品が効果を約束できるとは言えませんよね。

――150%だと1.5倍! そんなに誤差があってもいいんですか?


小浦 食品ですし、ビタミン・ミネラルが多かったり少なかったりしても、すぐに健康に大きな影響(健康被害や病気の治癒)はありませんからね。また、お薬のように厳密な管理が求められると、当然、製造コストも上がります。消費者としても手ごろな値段で購入できるというメリットでもあるんですよ。なお、アベノミクスの政策の一環として、食品の機能性表示制度に関する検討会が進められています。効果が科学的に認められれば、記述をより具体的にしていい、となるかもしれません。

――それは消費者にとってはいい流れですね。

小浦 一方で、今度は広告が過剰になる可能性もあるので注意は必要ですね。サプリメントのメーカーが作り手である以上、薬事法の規制で効果についてはっきり言えませんし、発信する情報はメリット中心になってしまいがちです。一方、ドクターや教授など、アカデミックな人たちの情報は正確ですが、専門的すぎて消費者には難しいのが難点です。私自身は製品を販売している訳ではないので、サプリメントの効果効能や選び方について自由に発信できる立場にいます。ですから、アカデミックな情報を、サプリメントを利用する側の消費者にとって有益な情報となるよう、わかりやすく翻訳して伝えていきたいですね。
(取材=石徹白 未亜)

小浦ゆきえ(こうら・ゆきえ)
NR・サプリメントアドバイザー。サプリメントやダイエット食品の活用方法や、広告を正しく読み解くノウハウを消費者目線で提供している。著書『子宝サプリ』( 自由国民社)は男女別にホルモンを助けるサプリのほか、主要な栄養素の推奨量、上限量なども紹介している。 
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最終更新:2014/07/21 16:00
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