8歳でマリファナを覚えたロバート・ダウニー・Jr.、息子の薬物依存に「遺伝」と悲痛なコメント
しかし、10代の頃、ありとあらゆるドラッグに手を出したロバートは、20歳になる頃には重度の薬物依存症になっており、ドラッグなしでは生きられなくなっていた。20代の頃は依存症を隠していたが、『レス・ザン・ゼロ』(1987)でコカイン中毒の主人公を演じたのがきっかけで、それまで仕事が終わるまで我慢していたのに、撮影前でも薬物を摂取するようになってしまう。アルコールの量も増え、コントロールが利かないほど依存するようになっていったが、キャリアは絶好調で、『チャーリー』(92)でアカデミー賞にノミネートされたり、過激だと話題になった『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94)に出演するなどし、ハリウッドの次世代を担う実力派俳優としてもてはやされるようになった。92年には女優のデボラ・ファルコナーと結婚し、翌年には息子インディオが誕生。表面上は、公私ともに充実した日々を送っているかに見えた。
だが、ロバートの薬物・アルコール依存は悪化する一方で、キャリア絶頂の95年頃、ヘロインとコカインにのめり込むようになってしまう。そして、96年、サンセット大通りを素っ裸でハイになりながらポルシェを運転しているところを止められ、車内からコカイン、ヘロイン、拳銃が出てきて逮捕。1カ月後にハイになったまま近所の家に不法侵入した上、子ども部屋のベッドで寝てしまい逮捕。99年には、薬物依存更生をする刑務所に約1年間収容される。デボラからは96年に三行半を突きつけられ、04年に正式に離婚した。
出所後、ロバートは人気テレビドラマ『アリーmyラブ』にゲスト出演して高い評価を得たが、翌01年、コカイン所持で再び逮捕され、再度リハビリ施設に入所。その後もなかなか断ち切れずにいたが、強い意志を持ち、03年までには足を洗うことに成功。才能のある彼のことをハリウッド監督たちは見捨てておらず、05年から映画界に本格的にカムバック。事実上の復帰作となった『キスキス,バンバン』では9歳の息子インディオとの親子共演も果たし、08年には『アイアンマン』シリーズの主役に抜てきされたり、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』の演技が大絶賛されたり、09年からは『シャーロック・ホームズ』シリーズに出演し、ハリウッドを代表するA級スターに上り詰めた。
「TMZ」によると、インディオは数年前から薬物依存症のリハビリ治療を受けているとのこと。自分の遺伝から依存するようになったと思っているロバートは、リハビリで克服しては再び薬に手を出してしまうというパターンに陥っている息子に、辛抱強く付き合い、サポートしているという。礼儀正しく、性格がとてもいいと評判のインディオは、今回逮捕される少し前から薬物断ちしており、克服できたかと思っていた矢先のことだったとも報じられている。
実は昨年末、米大手タブロイド紙「ナショナル・エンクワイアラー」が、インディオがリハビリ治療を受けているとスクープしていた。同紙の取材を受けた母親のデボラは、あっさりとリハビリしていると認め、「処方箋薬を断ち切るための治療なの。依存とか大げさなものじゃない」と明かし、ミュージシャン活動をしているインディオが、じきに音楽活動に復帰するだろうと述べていた。だが、恐らく、この時もコカインなどのハードドラッグを断ち切る壮絶な治療を受けていたのだろう。
過去にセックス・アルコール依存症の治療を受けたマイケル・ダグラス、彼の息子キャメロンもコカイン依存で現在服役中。重度のコカイン中毒だったロックバンド「ローリング・ストーンズ」のキース・リチャーズも、娘セオドーラが薬物所持で逮捕されており、ライアン・オニールに至っては息子レドモンドと一緒に薬物所持罪で逮捕されたことがある。薬物に身近な環境というのが、影響しているのかもしれない。インディオはまだ20歳。今回の逮捕で目を完全に覚まし、きっぱりと克服できるよう、祈らずにはいられない。