カルチャー
[サイジョの本棚]

自分だけの幸せを追求し、趣味を武器に“リア充”へ。人生のサバイバル術を教えてくれる本

2014/07/03 21:00

――本屋にあまたと並ぶ新刊の中から、サイゾーウーマン(サイ女)読者の本棚に入れたい書籍・コミックを紹介します!

【文庫本】
『美女のたしなみ』(大久保佳代子、徳間書店)

 アラフォーの性欲や本音を笑いにまぶして語ることができる人気女芸人・大久保佳代子(オアシズ)。『美女のたしなみ』は、彼女が「OL兼お笑い芸人」だった時期に、主に書かれたエッセイだ。

 「大久保&光浦靖子&黒沢かずこ(森三中)で逆ナンに挑戦→撃沈」「合コンのはずが、いつの間にか途中から知らないおじさんとカラオケ」「本当はOL仕事なのに、芸能仕事と嘘をついて後悔する」など、大久保氏にしか語れない“OL兼芸能人”ならではの日常や恋愛が、悲しくも笑えるエピソードとしてつづられていく。

 OLとお笑い芸人の“二足のわらじ”状態だった当時を、大久保自身は「受け身で流されて」きた結果で、「常にどちらかに逃げ道があった、楽な状態」だったと振り返る。しかしそれは、自分にストレスのない環境を見極めて、自分で選んだ結果でもある。多少の謙遜はあったとしても自虐も自慢もない、すっきりとした読後感は、確かに、ちょっと“美女”っぽいのだ。

【単行本】
『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』(町山智浩、マガジンハウス)

 タイトルと表紙を見て「めっちゃスゴい女性」=仕事・私生活・外見すべてが完璧な女性を連想し、「間に合ってます……」と後ずさりする人は、ちょっと待ってほしい。『アメリカのめっちゃすごい女性たち』は、『美女のたしなみ』を楽しめる人にこそ読んでほしい、“いろんな意味でめっちゃスゴい”アメリカの現代女性55人の半生を簡潔に紹介した評伝集だ。

 取り上げられている女性の中には、オプラ・ウィンフリーのように貧困から這い上がりアメリカンドリームを実現した著名人や、ゼロックス、ペプシといった有名企業を立て直した女性CEOたちのような、わかりやすい“スター”もいる。その一方で、全身を“お直し”し続ける81歳のコメディエンヌや、実子に常に厳しく当たり、スパルタ的な教育法を提唱する母親など、賛否分かれる女性たちの半生も美化せず、その失敗や破綻ごと取り上げている。

 55人の女性全員が、誰からも賞賛される、聖人のような生き方ではない。けれども誰もが、お仕着せではない「本当に自分が幸せと思えること」を堂々と追求しているという一点で共通していて、どの生き方も爽快だ。時にいびつにも見える彼女たちの生き方は、ついつい誰からもけなされない、最大公約数的な幸せを求めがちな私たちの視野を開かせ、楽にしてくれる。

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