ついに完結『失恋ショコラティエ』、サエコの「女塾」で冴え渡る水城せとなの観察眼
[6月の注目!]地震と戦争――今日的なテーマを内包する話題作『あとかたの街』
『あとかたの街』1(講談社)
雁須磨子先生は6月7日に新刊3冊の同時発売を控えています。『右足と左足のあいだ』、『新装版 連続恋愛劇場』(ともに祥伝社)、そして完結巻となる『つなぐと星座になるように』6(講談社)です。中でも短編の名手でもある雁先生久々の短篇集『右足と左足のあいだ』にご注目を。自分ですら捉えきれない女の心の機微が、鮮やかにかつ的確に表現されていることの快感!
太平洋戦争末期の名古屋を舞台とした、おざわゆき先生の話題作『あとかたの街』1(講談社)が6月13日に発売されます。本作には2つの歴史的大事件が登場します。それが1944年の東南海地震と、翌年の名古屋大空襲。地震と戦争――なんとも今日的なテーマではありませんか。おざわ先生は戦時下の暮らしをとても丁寧に描いていらっしゃいます。読み進むうち、登場人物が赤の他人ではなく、近しい大切な誰かのように思えてくることでしょう。だからこそ悲劇もまた、絵空事でない臨場感をもって立ち上がってくるのです。
話題の俳句マンガ、アキヤマ香先生『ぼくらの17-ON!』2(双葉社)は6月17日発売です。お話はもちろんおもしろいのですが、登場する俳句がどれも素晴らしい! これらは新進気鋭の俳人・佐藤文香さんの手によるオリジナル作品で、「黒がゆきオレンジがゆく金魚すくい」「透明な傷をかさねてかき氷」「夕立へ私達ときには走る」といったみずみずしい俳句たちが作品をより美しく彩っています。
ほか、6月5日に樹なつみ先生『花咲ける青少年 特別編』5(白泉社)、6月10日に岩岡ヒサエ先生『孤食ロボット』1(集英社)、6月13日に六多いくみ先生『リメイク』3(マッグガーデン)、6月23日に日本橋ヨヲコ先生『少女ファイト』11(講談社)、6月25日にやまもり三香先生『ひるなかの流星』10(集英社)、6月26日に嶋木あこ先生『ぴんとこな』12(小学館)などが発売されます。今月も大忙しであります。
小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって遂には仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14竿を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「SPUR」(集英社)にて「マンガの中の私たち」、「婦人画報」(ハースト婦人画報社)にて「小田真琴の現代コミック考」連載中。