“貪欲さ”を意識しだしたHey!Say!JUMP、伊野尾慧&知念侑李に見える自覚と成長
今回ツッコませていただくのは、各メンバーを絶賛“均等売り”中のHey!Say!JUMPで、新たに見られた成長ぶり。中でも目覚ましい成長が見られるのは、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)で着々と「主婦のアイドル」道を歩みつつある有岡大貴のほか、知念侑李と伊野尾慧の2人だと思う。
伊野尾は、ドラマ『なるようになるさ。』(TBS系)に出演し、中性的でキレイな顔の一方、素っ頓狂なユニークボイスが不思議と「えなりかずき似」と一部で話題になるなど、まさかの橋田壽賀子脚本との相性の良さを見せつけている。グループ内では「テキトーキャラ」として知られているが、その実、いろいろ考えて話す人の印象があり、『王様のブランチ』(TBS系、6月21日放送分)の「買い物の達人」に番宣で出演した際にも、共演者の話を盛り込みつつ、求められたことにユーモアを交えてきちんと答える様子が印象的だった。日頃はどちらかと言うと「ガヤ芸」だが、正面からきちんと話せる力も、全体に目配りをする力もあり、物腰も柔らかかく、清潔感もある。実は料理番組のアシスタントなどをやったら、主婦に人気が出そうな気がする。
そして、知念。もともとダンスのうまさや、抜群の運動神経、「頭の回転のはやさ」「口角の上がったアイドル顔」「小悪魔キャラ」で、グループ内でもファンの間でも常に「可愛い」「スゴイ」と言われ、甘やかされてきた。だが、その半面、実は極度の人見知りであり、個人仕事のドラマ現場では「1人でガムテープをずっと見つめていた」エピソードがあるほど。また、トーク番組では、ただ黙って座っている「置物状態」が多いことも、一部で指摘され続けていた。ところが、このところの知念は、攻めに攻めている。映画『超高速!参勤交代』の宣伝で多数の番組に出演していたが、『ホンマでっか!?テレビ』(フジテレビ系、6月18日放送分)では、さんまの前で物怖じせず堂々としゃべっていたし、『VS嵐』(同、6月19日放送分)では、持ち前の運動能力を生かし、クリフクライムで歴代最高得点を叩き出していた。一番驚いたのは、『新チューボーですよ!』(TBS系、6月14日放送分)だ。得意なアクロバットやダンスを披露したのはいつも通りの感じだが、何より素晴らしかったのは、トーク面。
自ら事務所の先輩・東山紀之の名前を出し、「知念、こっち(オネエ系)だもんな」とよくイジられ、否定しているという話を披露したが、堺正章巨匠に「そこは『違うわよ♪』って。絶対ウケるよ」とアドバイスされると、その後、巨匠のフリに対して即座にオネエ言葉で「違うわよ♪」と返し、さらにその後も「違うわよ♪」をアドリブでぶっこんでいた。
しかも、アシスタントのすみれに「コンサートでよく言うセリフの英語バージョンを教えてほしい」とリクエストし、教えてもらうと、「みんな、今日もかわいいよ~! ま、僕の方がかわいいけどね」を英語で、バリバリのカメラ目線で披露してみせた。幼い頃は甘えん坊で、高音ボイスが美しく、度胸もあり、何でも上手にこなしてきた知念。それが、声変わりし、ルックスもどんどん男っぽくなり、精神的にも大人になるにつれ、自分から前に出なくなっているように見えた。「可愛い」キャラとして扱われることに戸惑いを感じているように見えることもあった。
だが、最近の知念は、レギュラー番組『スクール革命!』(日本テレビ系)でも笑いに非常に貪欲だし、個人仕事でも大きなリアクションを取ったり、グループで出るアルバム宣伝の歌番組では変顔をしてみせたりと、積極的に前に出よう、前に出ようとしているように見える。もともとエリート集団のHey!Say!JUMPに一番欠けていたのは、ほかを押しのけても前に出ようとする押しの強さ・貪欲さだと思う。だが、一番の魅力「仲良しゆとり感」を維持しつつも、一人ひとりがグループを離れて個人仕事をすることにより、外の世界を知り、自分に求められている役割や自分に足りないこと・やるべきことを意識するようになってきたように見える。
絶対的エース・山田涼介が大きな単発仕事を除いて露出を控えていた2013年中盤~14年前半。その間、周りのメンバーが、ドラマや映画、バラエティなど、個人仕事で「出稼ぎ」させてもらった収穫は大きいだろう。最年長・薮宏太の熱愛写真流出でグループの勢いをそがれそうな今、各メンバーのこれまで蒔いた種・懸命に育ててきた芽や膨らみつつある蕾が摘み取られてしまうことになったら、悲しすぎる。
JUMPの花がちゃんと開くかどうか、今が一番大切な時期ではないだろうか。
(田幸和歌子)