カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月22日号

リリーの暴言と“妻にイジめられている男”のグチで、読者に内省を促す「婦人公論」

2014/06/18 21:00
「婦人公論」(中央公論新社)6月22日号

 時はサッカーワールドカップ真っ盛りです。今号はまずサッカー解説者の大竹七未氏による「ワールドカップが100倍楽しくなる選手名鑑」からお伝えします。モテ狂いの「CLASSY.」(光文社)では“ニワカに見られないタオルマフラーの巻き方”とか“男子がグッとくる背番号はコレだ”みたいなサッカーにかこつけた色欲企画で盛り上がっていましたが、それに比べたら「婦人公論」(中央公論新社)のW杯特集は大分真面目です。ザックジャパンのチーム構成から予選リーグで対戦する各国の戦力分析、注目すべきスター選手などを浅く薄く網羅。しかし、サッカーファンならとっくに知ってる情報でしょうし、サッカーに興味ない人には一つも響かない内容というのもまた事実。なんならザッケローニのケツアゴが放出するフェロモン徹底解剖とか、婚外恋愛するならこの監督とか、もっともっと「婦人公論」っぽいものをと求めてしまう……そんな筆者もオフサイドがなんなのか、いまだによくわかってない人間の1人です。

<トピックス>
◎ワールドカップが100倍楽しくなる選手名鑑
◎特集 イライラと怒りに振り回されず、穏やかに過ごす
◎リリー・フランキー お父さんたちの寂しさ、切なさ、漂流感が胸に迫ります

■恐妻家≒ぶりっ子おじさん

 「婦人公論」今号の特集は「イライラと怒りに振り回されず、穏やかに過ごす」です。年を取ると丸くなるとよく言いますが、実際には「キレる老人」による暴力事件なども数多く、加齢による自己コントロールの低下は否めないところ。閉経や更年期障害など体の変化に心がなかなか追いつかないのも、イライラの原因の1つではないでしょうか。

 まさにそんな「年をとるほど丸くなる」を否定しているのが、詩人・伊藤比呂美氏と作家・角田光代氏の対談「女はどんどん“正義漢”になっていく」。家族に、知人に、町で見かけるルール違反な人たちに腹が立って仕方ないというお2人。「日本でイラっとするのは、面と向かって『太った?』とか『やせた?』とか、すぐ言うこと」(伊藤)。これ、すっっっっっっごくわかります! いますよね、鬼の首でも取ったかのように「太ったよね?」と言ってくる人!! 悲しいかな「やせた?」はほぼないのですが、まぁ本当に「ほっとけや」という話です。その「ほっとけや」を実際に行動に移したのが伊藤氏で、「熊本のご近所さんでいっつも『また太った?』って言う人がいたから、あたし、玄関に貼った帰国のお知らせの紙にわざわざ書いたもの。『○日までいます。私は太りましたが、自覚しているので言わないでください。特に○○さん』って」。

 ここまではっきり怒りの意味を明かしてくれたら、周囲にいる人間は案外苦労も少ないでしょうが、厄介なのは怒りのマグマをたぎらせながらその理由を明かさない“察して”系。「愛する妻よ、なぜ君はすぐキレるのか?」は「婦人公論」では珍しい、夫たちの匿名座談会です。参加者は妻の浪費に悩む45歳、不機嫌な妻が子どもたちに当たるのを見ていられない49歳、20年連れ添った妻と離婚、その後見合いで15歳年下の女性と再婚した56歳の3人。妻を愛しているが故に正体不明の怒りがつらいと語っています。

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