カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「DRESS」7月号

若い女性の専業主婦願望を嘆く「DRESS」、一方で男ウケファッションに血眼の矛盾

2014/06/04 21:00

■「DRESS」の言う女の幸せは、結局結婚なのか

 彼女のコラムは「夫婦解散」あらため、「再婚ケモノ道」となりました。「やはり伴侶は欲しいかも」と思う出来事があったそうです。それは母親の入院。母に寄り添う父の姿を見て、自分が倒れた時に支えてくれる伴侶がほしいと思ったんだとか。しかし別れた夫のことは「いらない」そうで、二度と関わるな、理想の夫を探すぞ! と意気込みを語っています。

 西川さんの言う「理想の夫」が、どんなものかは具体的には書いていませんでしたが、今までの内容を振り返るに、自分を認めて支えてくれ、見守ってくれるような心優しい夫というところでしょうか。まあ、誰もが夢見る夫像ですね。「AERA」読者のような、収入も地位もある女性たちが求めるのは、心の癒やしになる男性です。謙虚で自分を認め、支えてくれるイメージからか、年下を好む女性も多いのではないでしょうか。はっきり言って、自分に収入さえあれば、男を褒めそやして媚びを売る必要はまったくないわけですから。男社会と戦ってきた女たちは、今さらプライベートでその男たちからとやかく言われたいものでしょうか。

 それなのに、「男目線を取り入れよう!」と言って、男好きのする格好をしましょうというのは、それこそ甘粕さんが言うように、時代を逆行しているように思えました。金と地位を得るということは、従わなければいけないルールやしきたりから、ある意味解放されるということ。仕事で散々男の意見を飲まなければいけなかった立場からすると、ファッションくらい好きにさせろよ、と思うわけです。

 しかし、これが「DRESS」読者の総意かどうかはわかりません。もしかしたら、どうしても結婚したいと、「男たちの意見を取り入れなくちゃ!」と感じている人も少なくないかも。懸命に働く自分に誇りを持ちながらも、でも結婚するために男の人に愛されたい。そんな人は、未婚のうちは「バリバリ働くあたしは幸せ」と豪語していても、いざ玉の輿に乗ったら「家庭を守って素敵な仕事をする私は勝ち組」と思うのでしょうか。もしそうならば、「DRESS」読者の求めるものが一体何なのか、ますますわからなくなってしまいそうです。
(増井涼子)

最終更新:2014/06/05 14:26
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