若い女性の専業主婦願望を嘆く「DRESS」、一方で男ウケファッションに血眼の矛盾
今月号の「DRESS」(幻冬舎)で気になったのが、連載第4回目の「ブランドという存在の理由」という企画。今回は、ラルフ・ローレンについてでした。デザイナーの素顔に触れるという内容で、彼の半生とデザインに対する姿勢や状況がわかるようになるでしょう。妻とのエピソードやプライベートの様子も知ることができ、読むだけで、ラルフ・ローレンのアイテムが1つほしくなる企画でした。
こんなに面白い読み物、どうして今まで見過ごしてしまったのだろうと、バックナンバーを漁ってみたら、今年の3月号に新連載として「ラグジュアリー、その存在の理由」というヴィトンのカタログページがありました。そしてその後、一生懸命4~6月号まで目次を探したのですが、該当しそうなページが見当たらない。ううう、一体どの企画がこの連載に該当するの? しかし、初回がカタログだったことを考えると、当初は「デザイナー半生記」という企画ではないのかも。ブランドの成り立ちエピソードは、歴史好きとしても、経営に関わる人にとっても興味深く、ファッション誌特有の企画だと思うので、ぜひ続けてほしいところです。
<トピック>
◎浜田敬子(AERA編集長)の今月の女ジャーナル
◎甘粕りりこの「生涯嫁入り前」
◎僕らも大好き! おしゃれな女性
■「DRESS」があこがれる「AERA」
今月号は、読み物ページの内容が興味深いものばかり。「今月の女ジャーナル」は、編集部が、「DRESS」読者像をどう設定しているのかを象徴するような人選になっています。今回は、週刊誌の「AERA」(朝日新聞出版)編集長の浜田敬子氏(連載開始時は副編集長)。「DRESS」読者は、「AERA」の読者層である、ガンガン働き、ガッポリ儲けてる知的なキャリアウーマンですよ! と謳っているのでしょうか。
しかし、そんなキャリアウーマンは、業務上必要な資料や新聞、報道誌など、目を通さなければいけないものがたくさんあり、ファッション誌を読んでいる暇はないというのが真実。こうした女性たちをターゲットにした以上、「DRESS」は、「そもそもファッション誌を読まない彼女たちに必要な情報が詰まっている“ファッション誌”ってどんなものだろう?」というところから、掘り起こしをしていたようですが、現在の「DRESS」は、そんな理想と「想定読者はそもそもファッション誌を読まない」という現実の狭間で、さまよっているように見えます。ガッポリ稼いでいる知的なアラフォーキャリアウーマンが読むファッション誌の正しい姿は、創刊1年以上たっても、いまだに明確にはなっていないのではないでしょうか。