「西新井と川越は持ってる」テレビ関係者が明かす、“視聴率を稼げる街”
低予算かつ、お手軽。それでいて、そこそこ数字を獲ることから、テレビマンに重宝がられているキラーコンテンツが「街ぶら」番組だ。例えば、『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)や加山雄三による『若大将のゆうゆう散歩』(テレビ朝日系)、さらには毒舌・有吉弘行による『有吉くんの正直さんぽ』(フジテレビ系)、さまぁ~ずによる『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京系)など枚挙にいとまがない。
またそれらとは一線を画し、タモリが古地図を片手にその街の変貌をひもといていく『ブラタモリ』(NHK)は、今もファンからの復活を求める声が絶えない名番組である。さらに、毎週1つの街を掘り下げて紹介する『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)は来年放送20年を迎える長寿番組だ。
こうした街紹介・街ぶら番組の中で、「放送するたびに数字が高い」と言われている街が2つあるという。今回、在京のテレビ番組を手がける関係者から、その「数字を持ってる街」を聞き出すことができた。
「東京・西新井と埼玉・川越です」
なんともシブいこれら2つの地区を、あらためておさらいしておこう。
西新井は東京最北端・足立区のほぼ中央にある街だ。開運・厄除けと霊験あらたかな寺「西新井大師」があることで知られる門前町だが、最近は再開発が進み、新しい世代の流入が著しい。そしてもう1つ、埼玉県南西部にある川越。江戸情緒を街のそこかしこに残していることから「小江戸」と呼ばれ、年間600万人が訪れる一大観光地である。
さて、肝心の「持ってる説」。実際に調べると、例えば西新井を紹介した『アド街』は、今年1月11日に放送された時は9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。5年前の2008年1月12日放送分は9.5%。2ケタを獲ることも珍しくはない『アド街』の中では取り立てて高い数字ではない。だが、去年1月22日の『火曜サプライズ』(日本テレビ系)で西新井大師をタレントたちが回った時は13.1%。『火サプ』としても、現在の民放のテレビ番組としても、合格の数字だ。
川越はどうだろう。今年5月3日、『正直さんぽ』でゴールデンウィークにオススメという触れ込みで川越を散歩した回は6.0%。だが、翌週の同番組の北千住編は6.8%と0.8ポイント高かった。12年5月6日の『モヤさま』川越編は5.7%。今でこそ8~10%は獲る同番組だが、当時の『モヤさま』からすると可もなく不可もない数字だ。
こうして見ると、「視聴率男」や「視聴率女王」という常套句のように、「数字が獲れる街」というコピーも、内容次第で上げ下げが決まる、まさに水ものなのではないだろうか。そして、関係者は最後に重要な証言をしてくれた。
「テレビの視聴率機械を設置する家ですが、なるべく稼働率を高めるように、関東圏ではテレビをよく見る下町や埼玉などにモニターを依頼することがあると聞きます」
これが本当であれば、西新井や川越など、自分たちの生活圏内の街への関心が高くなるのは必然だが、実際にはそこまで数字に直結しているわけでもないようだ。
都市伝説か、神頼みか。西新井と川越を同時に紹介したら、高視聴率間違いなし!?