残念なジャニーズドラマ『SHARK』の中で、Jr.阿部顕嵐に見える“化ける”可能性
今回ツッコませていただくのは、日本テレビ系土曜深夜ドラマ『SHARK』&『SHARK~2nd Season』。
所詮、ジャニーズファンしか見ない枠だとは承知の上でも、3月末で『SHARK』が終わるやいなや、その次クールも引き続き『SHARK~2nd Season』だと知った時には、盛大にガッカリしてしまった人も少なくなかったに違いない。ただでさえ、音楽モノは余程うまく描かないと陳腐になりやすいのに、深夜のジャニドラでそれができるはずもなく、おまけに「バンド」モノで、内容は「仲間が1人出て行っては戻ってくる」単純な作り。何より、全体にメリハリなく、ただただ暗く、長い。
さらに、主演の平野紫耀はもともとカスカスの掠れ声なのに、「天才ボーカリスト」役というのもどうにも気の毒に思えた。せっかく売り出したい平野を主演にするのなら、もう少し明るいキュートな話にすれば良かったのに……とか、ご本人の得意のダンスやアクロバットの力を発揮できるものや、素の「天然」ぶりを出せる愛すべき役の方が良かっただろうに……と思えてならなかった。
さらに、『SHARK』&『SHARK~2nd Season』出演の岩本照は、4月初旬発売の「週刊文春」(文藝春秋)において「ヤラカシへの暴力」が、同誌5月1日号では同じく『SHARK』に出演していたジャニーズWEST・藤井流星の「性的暴力、未成年飲酒・喫煙」が立て続けに報じられてしまった。ただでさえドラマが面白くないのに、間も置かずに『2nd Season』が作られたガッカリ感があり、そこにトドメのように出演者の不祥事まで続出し、まるで貧乏神にでも取りつかれているドラマのようにも見える。
『2nd Season』の方の主演は、ジャニーズWEST・重岡大毅で、もともと関西ジャニーズJr.ではトップクラスの人気だったのに、こうした状況の中での主演では、単に「ジャニーズWESTを売り出したいだけ」に見えてしまうし、つくづくツイていない。本当に「誰、得?」状態に見えて仕方ないドラマなのだ。
だが、そんな中、唯一得をしたように見えるのは、『2nd Season』でボーカル役を演じているジャニーズJr.の阿部顕嵐(あらん)である。もともとジャニーズファンの間では「あらんちゃん」などと呼ばれ、「美形」の呼び声高いJr.だ。「爽やか」「清潔感がある」「天然」ともよく言われており、同じ枠の土曜深夜ドラマ『49』(13年10~12月)にも出演していたのだが、クセのない左右対称の整った顔ゆえに、どうにも印象に残りにくい気がしていた。
ところが、『SHARK~2nd Season』で金髪にしてみたら、思いのほか華がある。演技は決して達者ではないが、感情表現がわかりやすく、しゃべりも特徴的で、深夜のジャニドラよりも日曜朝の「戦隊モノ」「ライダーシリーズ」などが似合いそうな感じもする。
平野、重岡と、関西の人気者が『SHARK』によって出鼻を挫かれてしまった感がある中、思わぬ棚ボタで輝いている阿部顕嵐。うまく朝の時間帯のドラマなどに進出できれば、思いがけず化ける可能性もあるかも?
(田幸和歌子)