大久保ニューの【美のぬか床】 第13回

「まるで結婚用の男」手ぬぐい洗顔の安定感と地味さに感じた、女たちの葛藤

2014/05/31 16:00

 本によると、まずは顔を濡らし、ぬるま湯に浸けて軽く絞った手ぬぐいで、メイクを落とせるらしい。手ぬぐい洗顔を勧めてくれた友人は「メイク落としを使わなくていいのが本当にラクなの!!」と強く訴えていたが、私は基本ノーメイクなので確かめられない。J子はどうだろうと聞いてみたら「私は粘膜までアイラインを入れているので、使えませんでした……」とのこと。うん、使っちゃダメ、絶対!

 さて、肝心の洗顔だ。濡らした手ぬぐいで固形石けんを包み、優しく泡立てる。おおお、本当にクリーミーな泡☆ 手ぬぐい全体がヌルンとした感触になる。手ぬぐいを指に巻きつけて、顔面を優しくクルクル回しながら洗う。なるほど、刺激を感じるようなことは何もない。小鼻や耳の裏などを入念にクルクルさせ、泡を洗い流すと……おおおおおっ、本当にツルツルだ☆ 「天然のピーリング効果」と書いてあったが、本当にピーリングした後と同じ肌触り。これ、かなりいいわ☆

 本には「体の洗い方」も書いてあるので実践。よく女性誌やらに載っている「リンパマッサージ」に即している感じだ。まあ、普通に「丁寧に洗いました」って程度の感想。友人は「バスタオルがいらないし、最後に手ぬぐいをゆすいで、部屋に干しておけば次の日使えるから、洗濯物も減って経済的☆」と言っていたが、確かに面倒ではない。お風呂場に置きっぱしのボディブラシや泡立てネットよりも清潔に感じられる。特に新しいことをしている気もしないまま、タオルを手ぬぐいに置き換えて使い続け、5日くらいたった頃であろうか、己の体の異変に気がついた。わお、二の腕のプツプツが消えてる!?

 その昔、自分の身体にまったくかまけない男の二の腕がプツプツしていたのを不思議に思っていたが、中年になって太り始めたら、己の腕にもプツプツができるようになった。ネットで調べても色々な理由があるようで、原因がわからず、とりあえずクリームを塗ったりしていた。素人判断なので、もちろん効果はなく、プツプツに触れるたびにブルーになっていた。そんな私の二の腕が、スムーズな肌触りになるなんて! 手ぬぐいが削ってくれたの? 老廃物となって、リンパへ流れたの!? そんなに強くこすっていた覚えはないが、これにはだいぶ感動してしまった。

 顔はツルツルになり、二の腕もスベスベ。私は手ぬぐいが手放せなくなっているが、一緒に始めたJ子はどうなったかと連絡してみると「すごくよかったです……」と、評価が高いのに暗い声が帰ってきた。「もう、ピーリングはいらないかも……」という声からは「別れたくない!」という女心が透けて見えた。矛盾しているように思われるかもしれないが、私はなんとなく理解できた。手ぬぐいって「地味」なのだ。これからずっと手ぬぐいなのか……と思うと、心に華やぎがなくなるのは仕方のない話だろう。


『「キレイ」が変わる 美肌手ぬぐい』