嵐・櫻井翔&TOKIO・国分太一の豪華MCのはずが……『いっぷく!』の濃すぎるアノ人
今回ツッコませていただくのは、櫻井翔がトークゲストとして登場した、4月17日放送分『いっぷく!』(TBS系)。
トークの直前にあったパンコーナーを受け、「ジャパンのパン、パンのパン、これが米粉じゃなくて、みっか~ん!」というヘンなラップを歌いつつ、「おもたせ」のみかんを手にぶら下げて登場したサービス精神満点の櫻井翔。MC・国分太一との2人の並びは「ダブルMC」のようで一見豪華だった。
冒頭で、「ピンポンピンポーン」という音とともに画面に映像が出るや、番組MCの国分より先に櫻井が「あ、当時の映像が……」と仕切ってしまい、国分に「お前はそうやって回すクセをやめなさい(笑)」と注意される珍場面も見られ、「MC対MC」の珍しいやりとりが見られるのではと期待されたが……残念ながら、主役は別の人だった。
何しろ随所に「ハコちゃん(岩下尚史)」という作家・伝統文化評論家の方がグイグイ出てくるのだ。ゲストはそっちのけで、まず口をついて出るのは、国分に関する「楽屋でも朝6時からずーっとしゃべりっぱなし。もうっ、何の準備もできないのー。本番になるまでにクタクタになる、あたし」というグチ(のろけ?)。また、櫻井に対する視聴者からの質問で、「オンとオフも予定をぎっちり詰める」という話題が出ると、「休まないとね~。奥行き出ないよ~」「明日からでも遊びに行きましょう~。一緒に~」とグイグイ。
また、「付き合う相手に対して求めることは?」という質問にも、脇から「ごはんは? あんまり求めないんだ~」と割り込み、「オシャレ? ダサい? 私服チェック」の問いでは、唐突に「パジャマに凝るとか、どうですか」と提案していた。櫻井がスウェットを着ていると答えると、
「すうぇっっっとぉ!? それは色気がないっ! もっとシルクのとか、ドレッシングガウンとか、ナイトキャップとか、うちにいろいろありますよ」
「ナイトウエアに凝るとかどうですか」
「ナイトウエアパーティとか」
と、立て続けに熱弁をふるう。これ、視聴者はどういう目で見たら良いんだろうか。この番組、何しろ「引っかかり」ばかりが多すぎて、気が散ってしまい、肝心の「主役」が薄まってしまいがちなのだ。
まず「ハコちゃん」というキャラのひっかかり。マツコデラックスとかミッツ・マングローブとか、女装でもしてくれていたら、見方がもう少しわかりそうなものだが、普通のおじさんに見えるだけに、「このオネエキャラの人は誰だろう」という戸惑いが終始拭えない。しかも、ものすごくグイグイ出てくるので、MC・国分の本来の「ウザ力」すら発揮されなくなっている。
さらに、木曜レギュラーの黒田知永子も、「おばちゃん」枠なのか「ステキ主婦」枠なのか、上げたらいいのか下げたらいいのか、正しい扱い方がわからず、引っかかる。実際、「ハコちゃん」も黒田の扱いがよくわからないらしく、途中で「入りたいなー、ジャニーズ事務所。ね~。ジャニーズシニア」などと黒田の方を見ながら同意を求めていた。「ハコちゃん」の中では「シニア」仲間だったのだろうか。
そんなよくわからない番組で、最も空気を読み、気を遣っていたのは、本来は真ん中で引き立てられるべきゲストの櫻井翔だった。他人の番組に来ても回してしまう、気を遣ってしまうのは、確かに悪いクセであり、気の毒な習性だと思う。
ちなみに、櫻井は日頃、人気者の嵐&高学歴キャスターとしてもてはやされている一方、実は「ヘタレ&イジられるとき」に輝く人。そういう意味では、混沌とした空気に翻弄され、振り回されて、魅力が存分に発揮された番組だったのかもしれないが……。
(田幸和歌子)