ナンのような巨顔から卒業!! 韓国のコルギ体験で悟った、「女の小顔願望」の底なし沼
目周りは優しく、オデコでまた強烈な圧をかけられ、コルギは終了。そしてシートマスクを施され、その間に全身をマッサージ。最後にクリームでケアしてもらい、全ての行程が終わった。J子とお互いの顔を見合って「ツルツル☆」とホメ合う。小顔に憧れ、激痛に耐えた者同士の絆が生まれた気がした。この「痛みに耐える」という行為が、努力礼賛でドMな日本人にマッチしているのかもしれない。着替えると、お茶のサービスがあり、J子を施術してくれたオバはんとお話をした。「韓国でもはやっているんですか?」と尋ねてみたら「そんなでもないヨ」と、すごく素直な返答をいただいた。そうなんだ……でもそうだろうね……整形の方が手っ取り早いものね☆
店を出て、スッピンのJ子と、こうなりゃとことん韓国気分をマンキツしようとサムギョブサル&マッコリを堪能した。J子の頬は上気したように色づいていて、オバはんの指が入った効果か、唇はリップを塗ったかのようにキレイな色だった。しかし、そんなJ子が「私、本当に小顔にあこがれているんです!」と涙目で訴えてきた。
ここまで女が小顔を切望してしまうのは、逆に「大きな顔」というものが、この先、絶対にはやる兆しがないからではないだろうか。「巨乳」や「巨尻」が好きな男子はいる。「巨体」もニーズはあるだろう。だが「巨顔」が好きというのはいまだかつて聞いたことがない。本人が「私の顔、大きい!」と思ってしまったが最後、それは解消しようのないコンプレックスになってしまうのだと思う。そりゃあ、涙目になるよね☆
私から見ると小顔だと思えるJ子だが、「桐谷美玲みたいな!」という目標があるらしい。芸能人と並ぼうとするそのガッツは、人生にハリを与えてくれると思うので、ほほえましく聞いていたが、「『小泉今日子が小顔』っていうのがピンとこないんですよね~」という世代格差発言が出て、私のほほえみは消えた(そして大炎上)。ちなみに私の中での小顔と言えば「向井理」だ。映画の中で、美玲ちゃんより小さかったもの。よく「恋人にしたい芸能人」で選ばれる彼だが、自分より顔が小さい男とキスしたりするのってイヤじゃないのかちら……。
オバはんから「翌朝、すごく肌がキレイになってるヨ☆」と言われ、楽しみにしていた朝。鏡を見ると、あれ? ……肌ツヤは確かにいいけれど、顔はむくんでいるような。しかも顔面を押すと、筋肉痛のような鈍い痛みが。J子に電話してみると、「コルギの後は血行がよくなっているんで、お酒はNGだったみたいです」と沈痛な声。それって、ホットヨガの時も注意されてたよね。「気をつけよう、取材の後の、酒と肉」。思わず一句詠んでしまったが、後悔はしていない。海外旅行気分が味わえたし、イケメンに触ってもらえたんだもの☆
大久保ニュー(おおくぼ・にゅー)
1970年東京都出身。漫画家。ゲイの男の子たちの恋愛や友情、女の赤裸々な本音を描いた作品を発表。著書に『坊や良い子だキスさせて1』(テラ出版)、『東京の男の子』(魚喃キリコ、安彦麻理絵共著/太田出版)などがある。
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