母親がドレスアップしちゃ“罪”なの? 「入学式にふさわしい服」のネット声に驚愕
前の晩はあまり酒を飲まないように気をつけた。やはり、二日酔いで入学式はさすがにマズい。そして「顔のムクミ対策」として「泣かない」ように、感情を深く押さえ込んだ。なにしろ、前夜に号泣なんてした日の翌日は、顔が、まったく使い物にならない状態に仕上がってしまう……今夜は何があっても、たとえ好きな男に捨てられたって泣かないわ!!! 「深酒と号泣」を厳しく封印。それはまるで翌日に撮影を控えた女優……『Wの悲劇』の薬師丸ひろ子、というよりも、三田佳子にでもなったような気分で当日に挑んだ私であった。が。
当日、やはり長男は緊張してるふうであった。そして私も、「久々の着物」という事で緊張していた。だからだろう。そんなビンビンの「Wの緊張」が、どうやら下の2歳と4歳にも伝わって、この2人がありえないぐらいに泣きぐずって大暴れ。こんな服着ないとか、食パンは焼くな、凍ったままで食べるだの何だのと、いちいちイチャモンをつけて泣きわめくので、私の顔はあからさまに、鬼ババアの形相に。額の血管はブチブチと音をたててブチ切れ、目は三角につり上がり、頭にはニョッキリ角まではえて、まさに般若と言わんばかりの状態。「甘辛ミックスなピンクの小紋」よりも、「白装束の着物」が似合ってしまいそうな、そんな顔つきで怒鳴り散らしてキレまくってた……ああ、せっかくこれからドレスアップするというのに、なんたるザマ。とりあえず、夫がチビ2人を保育園に連れて行き、その間に私は着付け屋に行ったわけだが、ここでも一緒に連れて行った長男がグズるゴネる。「もう待てない!!」「早くして!!」「入学式始まっちゃうよ!!」と、ギャアギャア騒ぎ立てるもんだから、着物を着せてもらいながらも「うるさいっっ!!!」と怒鳴り散らす始末で、本当に心底泣きたくなった。そして着付け後、速攻で帰宅して、長男にスーツを着せたわけだが、コイツがまったく、シャツの一番上のボタンをはめるのを、くすぐったがって嫌がる嫌がる。それで私の親指の爪がビキッと割れて……私の怒りは頂点に達した。
「いいかげんにしろーーーーー!!!!」
……まぁ、どんな阿鼻叫喚になったかは、ご想像におまかせである。夫が「せっかく着物着たんだから写真でも撮る?」と言ってくれたのに、ソレに対しても、「カメラ向けるなぁぁっっ!!!」と怒声で一喝。もう、何なんだ、私。本当に、朝から怒りと自己嫌悪で死にたくなった。
そんなわけで、大騒ぎの末ようやく外に出て、小学校までの道のりを歩き始めたわけである……が(まったく、この日は本当に、思ったように事がすすまない!!)。その時、私は「手ブラ」で歩いていた。一応、着付け屋から着物用のハンドバッグを借りてはいたが、夫が、必要書類などを入れたトートバッグを持っていたので、じゃあ必要ないかと思って手ブラだったのだ。それに夫が、待ったをかけた。
「ちょっと、マリエちゃん!!!」
「……なによ」
「それ、おかしいって!! 着物着て手ブラで歩くの、おかしい!! なんか『三代目姐』みたいだよ!!」