不憫、悲しみが似合うジャニーズ・中山優馬に憂う、「熱烈なファン」が少ない現状
今回ツッコませていただくのは、4月9日にスタートした、香取慎吾主演ドラマ『SMOKING GUN~決定的証拠~』(フジテレビ系)。
初回平均視聴率は10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低調だったが、今のところ「敗因」云々よりも、残念ながら「良かった点」を見つける方が難しいという印象だ。まずは、フジテレビのドラマ特有の終始流れる大袈裟なBGM。未知の作品と向き合う時、作品の世界観に入れるか、ハマれるかと、気持ちが構えてしまう状態は、観劇などの時に顕著に起こるもの。ドラマにおいてもやはり同様で、作品をどう見たら良いか判断がつかず、まだ馴染めない段階で大袈裟なBGMが終始流れていると、場面ごとに「喜怒哀楽」を押し付けられ、強引に巻き込まれるような違和感がある。
また、抑揚のない香取慎吾のしゃべりも違和感があり、肝心の主人公・流田縁の「トラウマ」らしきものの仕掛けも残念ながら惹きつけられない。謎めいた雰囲気なのに、単なる「人情モノ」ドラマになっているところも、そそられない。一部で「見どころは、西内まりやの脚だけ」とも言われていたが、それも制服姿からスラリと伸びる脚なら良かったが、どういうわけか上も下も露出度が高いだけの変なファッションで、本来の美脚力が活かされていないように見える。
そんな中、唯一の明るい話題は、香取のバーター出演中の中山優馬が歴代のドラマ出演作で初の2ケタ視聴率に到達したということだ。香取やSMAPにとっては低視聴率だが、優馬にとっては過去最高の数字で、一部ファンからは優馬に向けた「おめでとう」というコメントがあったほか、優馬を溺愛するジャニー社長に対しても「ヒロム(ジャニーさんの名前)、おめでとう」というコメントが見られるという盛り上がりだった。
しかも、優馬の役どころが良い。「8人兄弟の長男で家が極端に貧乏なため、アルバイトを掛け持ちしている」という設定で、兄弟を連れてスーパーに行き、割引シールが貼られたお弁当などを買い漁る様子は、濃く整って憂いのある優馬の顔に似合いすぎている。実は優馬は『左目探偵EYE』(日本テレビ系)にゲスト出演した際も、病弱&家が貧乏でお昼を食べるお金がなく、お昼休みに屋上で時間を潰す役を演じていた。強い目ヂカラで放つセリフ「誇りを持って生きていれば、貧乏は恥じゃない」はすごく印象的だった。
『ぴんとこな』(TBS系)でもまた、Kis-My-Ft2・玉森裕太演じる「歌舞伎の家の御曹司」役のライバルで、歌舞伎の家の出身じゃない「雑草」役が似合っていた。優馬にはなぜか「貧乏」とか「不遇」とか「悲しみ」がしっくりくるのだ。
ジャニーさんの「スペオキ(スペシャルお気に入り)」で仕事が常に与え続けられる好待遇のため、アンチもかつては多かったが、最近は本人のおっとり優しく明るい性格がファンの間で知られるところとなり、好感度が上がっている。余談だが、新曲「High Five」発売を記念して、「優馬とHigh Five」と題するイベントが先日東京・大阪で行われたが(※さらに5大都市で追加決定)、参加者全員とハイタッチする間、嫌な顔も疲れた顔も一切見せず、終始笑顔でやわらかに対応する優馬に対して、イベント参加者からは「癒やされた」「天使」「心が浄化された」という声が続出していた。
特に東京会場では、強引に手を伸ばして触ろうとしたり、騒いだりするマナーの悪いファンが1人もおらず、みんなが中山を温かく見守る様子が「ジャニーズのイベントと思えない」と言われていたし、途中、中山が客席の中を通る時には、さっと道が作られ、「モーゼのよう」とすら言われていた。とはいえ難しいのは、「温かく見守る層」「うっすら好感を抱く層」が増えている一方で、熱烈なファンが少ないこと。そして、今作もまた、増えるきっかけにはなりそうにない。
SMAPのバーター出演は本来好待遇のはずなのに、注目度があまり高くなく内容も心配が残るドラマにおいて、明るく健気に一生懸命演じる優馬は、やっぱり不憫に見える。「不憫美」にジャニーさんはまたしても萌えるのだろうか。
(田幸和歌子)