宇多田ヒカル、ラジオ最終回でかけた一曲にまつわる「藤圭子さんの摩訶不思議な事件」
5月23日にイタリアのファザーノ市の教会で挙式することが決まっている宇多田ヒカル(31)。彼女が出演していたInterFM「KUMA POWER HOUR with Utada Hikaru」の最終回で「決してInterFMさんに『この野郎、何回も番組を飛ばしやがって』と怒られたわけではなく、丸1年がたって、そろそろおいとましようかと思った次第です」と説明し、「今日は大好きな曲をかけていきます」と楽しそうに話し始めた。
そして、1996年に発表された、母(故・藤圭子さん)とのデュエット曲「ゴールデン・エラ」をかけた。「最後に父も手伝っていて、確か父と母の共作だったと思います。こっ恥ずかしいのですが。でも、こうして家族としての作品が残っているのは素晴らしいことですね」と紹介していた。
この番組は、Twitterとともに宇多田の近況を発信する場だった。昨年4月にスタートし、月に一度の放送だったが、8月に母の自殺で放送を延期、10月に再開したが体調不良でまたも休演となった。2月には、ロンドンで出会ったイタリア人、フランチェスコ・カリアーノさんとの再婚を報告し、話題となった。
このイタリア人男性は、バーテンダーを務める23歳の男性で、出会いは「宇多田のナンパ」と報じられたが、宇多田はTwitterで「バーで若いバーテンダーナンパするような女じゃないもん(つ(エ)⊂)シクシク 共通の友達がきっかけで知り合っただけだもん」(原文ママ)と否定。また公式サイトでは「これ以上ないほど『一般の方』。根が誠実で多くの友人に愛される好青年」と、ファンに報告もしている。
で、話を戻すと、宇多田が最終回でかけた「ゴールデン・エラ」は、実は私にとっても思い出深い1曲なのだ。宇多田がまだデビューする前のこと。歌手を続けていた藤圭子さんが、私が進行役を務めた深夜ラジオ番組『天地真理の深夜発熱烈熱愛大放送』(ラジオ日本)に出演してくれたことがあった。新曲キャンペーンの一環として出演してくれたのだが、「番組で『ゴールデン・エラ』をかけてほしい」と、藤さんから頼まれたのだ。「ホントは自分の曲よりも、こっちをかけてほしい。娘の歌声を聞いて」と。
もちろん、藤さんの曲もかけたが、「ゴールデン・エラ」もかけることになった。藤さんにも、一緒に来ていたご主人の宇多田照實さんにも、喜んでいただいた。そして、その10カ月後、「日本でヒカルをデビューさせたい」と、熱く語っていた藤さんの願いがかない、宇多田は「Automatic/time will tell」でデビュー、一気に大スターへの階段を駆け上っていった。
しかし今になって、なぜか藤さん出演回の生放送テープが、見つからないのだ。その回以外の放送分は全て揃っているのに、局にも制作会社にも残っていなかった。あの生放送で藤さんは、「娘・ヒカルの歌唱力や歌声の魅力、歌手としての資質」などという、後にも先にも聞いたことのない話を熱く語っていた。そんな貴重なテープだったはずなのに……本当に信じられない。摩訶不思議な一件であった。
ところで、5月23日のファザーノ市での挙式だが、日本のワイドショー取材合戦はどうなるのだろうか。マスコミに騒がれたくないという宇多田だけに、気になるところではある。
石川敏男(いしかわ・としお)
昭和21年11月10日生まれ。東京都出身。『ザ・ワイド』(日本テレビ系)の芸能デスク兼芸能リポーターとして活躍、現在は読売テレビ『す・またん』に出演中。 松竹宣伝部、『女性セブン』(小学館)『週刊女性』(主婦と生活社)の芸能記者から芸能レポーターへと転身。