共演20年のSMAPメンバーより、接点なき稲垣吾郎を「似てる」と語るタモリの嗜好
今回ツッコませていただくのは、『笑っていいとも!』最終週&『笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号』(フジテレビ系)で再確認された、タモリとSMAP各メンバーの距離感の違い。
まずは最終週のテレフォンショッキングに登場した木村拓哉。自分がゲストなのに、気を遣ってタモリに質問を振るサービス精神は相変わらずだが、興味深かったのは「SMAPメンバーで、タモリの家に初めて行ったのも、『笑っていいとも!』に初めて出演したのも、キムタクだった」という事実。というのも、いつも場の中心にいるキムタクが、「対タモリ」に関しては、完全にアウェーに見えていたからだ。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)などで共演する際には、常にキムタクがアプローチし、サービストークを披露するが、どうにもタモリにはハマらないように見え、空回りしている気がしていただけに、この意外な接点がタモリの口から語られた時には、余計なお世話ながらホッとした。
そして、『グランドフィナーレ』の香取のスピーチ。笑いを取りつつも、「つよぽんがすごく仲良くて、タモさんちに行ったりするの、すげーずっと羨ましかった」という本音トークには、珍しく根っこにある「陰キャラ」が露呈しているように見えた。日頃は「天真爛漫」「末っ子キャラ」を演じているが、実は幼い頃からジャニーズや芸能界しか知らない香取は、メンバーの中で最も世間ズレしていない、暗く悲しい人だと思う。そんな素顔が出たのも、タモリのフラットさあってのものだろう。涙声で「『笑っていいとも!』と言うのがつらい、苦しい時もあった」と思い出を語る時に、誰より真剣に聞いていたのが草なぎ剛だったのも、印象的だった。
中居は、「バラエティが終わる時は悲しい」「ここ2年、3年、4年? くらいでようやくご飯に行けるようになった」「抱きしめてくれて『感謝してる』と言ってくれたのが、すごくうれしかった」というイイ話からの鶴瓶へのネタ振り。「達者」でソツがない。そんな中、衝撃的だったのは、タモリの「仲良し」として知られ、距離が近すぎる草なぎ剛。
『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で「ビストロスマップ」にタモリが出た時も、昨年のいいとも忘年会で、「酒が飲めないから」という理由で1人先に帰ったことをバラされたり、「(いいともが終わったら)金曜の昼がヒマになるから、お茶に付き合ってほしい」と頼んだりと、かなりのふてぶてしさを示していた。だが、さらに驚いたのは、『いいとも』通常回での最終回スピーチと、『グランドフィナーレ』のスピーチが、いずれも「お笑い怪獣の人たちが出てるテレビで、僕らはアイドルでどうしたらいいかわからず」などと、内容も使用する語彙も、大部分同じだったこと。普通は、伝える相手や場が同じ際は、複数パターン考えるものだろうに、久しぶりに飲んだビールがおいしすぎて何をしゃべったか忘れてしまったのだろうか。それとも、単に鳥なのか。
『グランドフィナーレ』では、スピーチ途中でタモリが爆笑したが、おそらく数日前に聞いた内容と同じだったからではないかと思う。しかも、長めにしゃべる『グランドフィナーレ』の方はその後、モジモジしながら「なんか、あのー」「なんか、あのー」「なんか、あのー」を何度も繰り返し、サエない中学生男子のようだった。話もヘタだ。でも、こういう、なんだか気が利かない、そのまんまの適当なところも、きっとタモリのツボなんだと思う。
ちなみに、皮肉なことに、タモリが以前から「好き」と公言しているのは、最も接点がない稲垣吾郎で、先日の『SMAP×SMAP』では「変態なとこもいい」と稲垣を評し、「(自分と)似てるかも」とまで言っていた。努力すれば評価はしてくれるだろうが、頑張っても近づくことはできず、関心を抱くのは、全然頑張らないそのまんま「素材」の人というタモリの嗜好性。
努力が必ずしも報われないのは、人間関係の不公平なところ。それでいて、面白いところでもあり、それこそ「馬が合う」とか「相性」「運命」にも近いものなのかも。そして、タモリのブレなさを、ますます感じる部分なのだった。
(田幸和歌子)