深夜の「セックス大好き」発言と男遍歴、YOUの熱愛がスキャンダルにならない理由
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
雑誌「噂の真相」(噂の真相)が休刊したのは2004年の3月末だった。早いものであれからちょうど10年の年月がたった。休刊10周年を記念して元編集長のいる那覇に元スタッフや関係者が集まって飲み会を開いた。相変わらずバカ話で盛り上がったが、同時に10年という年月は大きいと感じた。何しろ「噂の真相」という雑誌が存在したことを知らない人々もどんどん多くなる。ま、当然のことだが、そんなことを少々感慨深く感じた那覇の夜だった。
第215回(3/20~25発売号より)
1位「スクープ撮 『午前4時の個室』小栗旬 黒木メイサ 6年の四角関係再燃」(「女性セブン」4月3日号)
2位「YOU 『広末は嫌いじゃないよ』H大好き宣言と元彼にせがんだお姫様抱っこ」(「週刊女性」4月8日号)
3位「『生活保護費だけでは…』シングル母が2晩で8千円激安ネット託児で向かった『夜の風俗バイト』」(「女性自身」4月8日号)
少々文学的タイトルの1位記事。小栗旬といえば、これまでも数々の浮名を流したモテ男。一方、赤西仁とデキ婚した黒木メイサは夫との不仲が度々取り上げられている。そんな話題の2人が不倫!? そんなことを容易に想像できるタイトルである。
小栗が自宅からほど近い個室居酒屋で友人らと飲んでいたが、そこに合流したのが黒木だった。午前0時前のことだったという。そして午前4時には、友人らは全て帰り、残ったのは小栗とメイサの2 人。それから1時間ほど2人きりで過ごし、小栗は妻・山田優の待つ自宅に徒歩で帰り、メイサはタクシーで帰宅した。以上がこの記事の内容である。ホテルにしけ込んだわけでも、自宅に連れ込んだわけでもない。一緒に飲んで帰っただけ。不倫でもなんでもない。
だが「セブン」記事が強調するのは、理由があった。2人が07年に映画『クローズZERO』で共演し、飲み会を開くなど親密になった時期があった。すでに小栗は山田と付き合っていた時期で、メイサを巡って大喧嘩。小栗は仕方なくメイサと距離を置いた。しかし昨年2人は再び実写版『ルパンIII世』で共演。そしてまた親密になって――というわけだ。
さらにこの2人を取り巻く人々には因縁があった。07年、小栗は香椎由宇とお泊まりデートを「フライデー」(講談社)されたが、直後、香椎はオダギリジョーと婚約。さらにその直後、今度は赤西が香椎とドライブデートしたと報じられたからだ。簡単に言えば、小栗と赤西は香椎という1人の女性を巡り“兄弟”関係にあり、さらにもし小栗がメイサと関係があったとしたら、メイサと山田もまた小栗を巡って“姉妹”になってしまう、ということである。小栗家と赤西家は夫婦揃って“親戚”(笑)。
おそらく、「セブン」は小栗の行きつけのこの居酒屋を定点観測していたのだろう。芸能記者がよくやる夜のパトロールだ。芸能人の行きそうな街、行きつけの店などを定期的にチェックしていれば、スクープが見つかるかもしれない。そして、小栗とメイサの姿を発見! ただ飲んでいただけで、不倫している証拠なんてまるでないけれど、いろんな関係もあるし、怪しいし、ということでトップ記事にしてしまったと思われる。
さらに「セブン」はナイスなものも発見した。当日、夫・小栗がちょうど帰宅した前後、山田のブログに意味深な書き込みがされていることを。
「5時に起きて、眠れなくなってしまった。薄ぐらーくて、ぼんやりとした時間。色々考え事が頭の中をぐるぐるぐるぐる。。。」
これをもって「セブン」は“女の勘が働いた”と記した。なんだか無理やり感満載だが、小栗とメイサの“意味深で怪しい関係”を印象付ける記事の作り方としては、なかなかの力作だ。証拠は何もないけど、単にお酒を飲んでいただけかもしれないけど、だからこそ過去の関係や、人脈まで駆使して描かれた大河記事(笑)。
それにしても、芸能人たちの“兄弟姉妹”相姦図を作ったら、かなり莫大な、そして壮観なものになるのだろうと思ってしまった。引っ付いたり、離れたり。本当にご苦労サマである。