樫木先生の美バストに嫉妬!! おデブ対策のメンズカーヴィーで知った50女の手練手管
もちろん要である「カーヴィー・メソッド」も初体験の私。一通りDVDに合わせて動いてみての感想は「キツい! でも効いてる!!」であった。なまりきった体が悲鳴を上げつつも、どんどんほぐれてゆくのを実感できた。DVDは3ステップに分かれていて、1ステップ終える頃にはもう汗ダク。樫木先生のポジティブな応援に励まされ、途中で登場する草野とおる(山田まりやの旦那)やNON STYLEの井上裕介の初心者っぽい感想に同胞意識を感じていると、飽きずに最後まで実践することができた。昨年で閉鎖してしまった樫木先生のスタジオでは、芸能人の相手ばかりで一般客には教えていなかったようだが、このDVDは芸能人と一緒に教わっているような感覚がして気分がいい。「山田まりやの旦那」という微妙な感じはさて置いても、コスパ充分な満足感だ。
ところでこの「メンズ・カーヴィー」、帯には「もちろん女性がやっても大効果!」と謳われている。では、どのへんが「メンズ」なのかというと、動きのテーマが男性的なのだ。「釣り」やら「歌舞伎」やら「和太鼓」など、決めポーズがメンズライク。そして樫木先生の衣装も、前のめりになると谷間が見えるスポーツタンク。この辺もメンズのハートを掴むものなのかちら? 検証すべく、年下(とは言っても30代)のメンズを呼び出して、体験してもらうことにした。男を呼び出すきっかけにも使えるとは、本当にコスパがイイネ☆
ちゃんとスポーツウェアで来てくれた男子に、まずは本を見てもらう。やはりいの一番の感想は「胸、ありますね」だった。樫木先生は50歳だと教えると、驚きつつも「(女として)アリですね」と返すではないか。メンズ用として機能している樫木先生に、尊敬と嫉妬を感じながらDVDを再生する。どうやら男子がやってもキツいようだ。やり始めてすぐに「汗が出てきた!」と驚いている。しかし、樫木先生のアッパーな解説や、楽しいポーズのおかげで、終始笑いながらエクササイズができる。男子いわく「ちゃんとポーズが取れる人ほど、身体のコアに効く」らしい。先生の話しっぷりも「なんかお母さんっぽい」とのこと。きっちりしながらも、ほっこりさせるテクニック。流石50女の手練手管である。最敬礼!
それにしても、男子が目の前で動いている姿を見るのは楽しい。しかも「歌舞伎のポーズ」を決めたりしてくれるのだ。普段、なかなか見れるものではない。寝転がってお尻を突き上げる動作などは、苦しげな息も相まって、かなりセクシャルだ。それを間近な距離で眺めるのは、なかなかに退廃的な快楽が味わえる。性豪である友人が「3Pをすると、恋人の動作を別の角度から見ることができて楽しいよ☆」と言っていたのを思い出した。これは逆に考えれば、自分のセクシャルな面をナチュラルに見せるチャンスかもしれない。倦怠期カップルには、素敵な潤滑油になるかもね☆
一通りのステップを終え、最終的な感想を聞いてみると、「やっぱり胸が……」とのことだった。「チューブトップの衣装が一番よかったなあ」とうれしそうに語る男子に、思わず嫉妬炎上。「こんなに動いても胸の形がキレイなんて、絶対に何かしてるよ!」「ジムを閉めた後なのに、メイキングで何も触れないって不誠実じゃない?」「出版界のうわさでは、かなり口やかましい女らしいよ?」と、思わず先生を冒涜するような発言をしてしまったら、「自分の仕事に口を出すのは、いいことでは?」と苦々しい顔で言われてしまった……。男子が好きなものを悪く言うのは、自分の評価を暴落させることなのに。わかっていたのに……。
結果、男子は汗まみれになっていたのに、シャワーも借りずに帰っていってしまった。男子が帰った部屋のテーブルには、満面のキメ笑顔の樫木先生が表紙の本。その笑顔は「気に入られたい人の前では、どんな時でも笑顔だよ☆」と教えてくれているような気がした。これからは樫木スマイルをお手本に精進させていただきます!! とりあえず、別のメンズを誘わなくっちゃ☆
大久保ニュー(おおくぼ・にゅー)
1970年東京都出身。漫画家。ゲイの男の子たちの恋愛や友情、女の赤裸々な本音を描いた作品を発表。著書に『坊や良い子だキスさせて1』(テラ出版)、『東京の男の子』(魚喃キリコ、安彦麻理絵共著/太田出版)などがある。
・HP ・ブログ ・Twitter