靴下重ね履き、手作り乾姜。「リンネル」が勧める「温め部」に医師のコメントはナシ
閑話休題。「リンネル」の記事に戻りますと、麻生以外にもタレントの大橋マキやヘアメイク、薬膳料理研究家、カメラマン、ライターらが登場し、漢方、アロマお灸、手作り乾姜(生姜を蒸して天日干ししたもの)、ハーブ入り足湯、白湯、布ナプキン、自家製味噌のお味噌汁……など、それぞれの温め方法を紹介しています。“おためし”コーナーとして、イトオテルミー(1929年に発明された温熱刺激療法)と、こんにゃく湿布も紹介されていました。こんにゃく湿布というのは、こんにゃくを20~30分もゆでて、タオルに包んで腰に置くというもの。それ、カイロや湯たんぽではなく、こんにゃくである必要ってなんでしょうか。「リンネル」編集部が「ゆでてあったか! 冷えとりこんにゃくBOOK」というこんにゃく付きムックの準備をしている姿が目に浮かんできました。
■医師のコメントがないのはなぜ?
からだを温めるのは悪いことではないでしょうし、紹介されている方法もなんらかの効果があるんでしょうが、ほとんど素人の面々がもっともらしいことを語っている点が気になりました(医師は最初のページにしか出てこない)。これで「子どもを授かった」「気持ちも安定」「未病を防げた」「睡眠の質が上がった」「心もほっこり温まった」などと効果を謳っているのですから、ネットのまとめサイトと大差ないですよね。それぞれの方法に対して、医師からひとことずつくらいコメントがあってもいいのでは。靴下を10枚履いて、本当に冷え性は解消されるんですか? そこんとこ、ちゃんと聞いてきてほしかったです。
こうした健康法を流行の1つ、エンターテインメントの1つとして捉えているならいいのですが、「人の道」のように書かれている点も気になります。冒頭で紹介した麻生久美子のエッセイには「自分のからだと向き合う」という語句があります。温め企画のタイトルは、仲間がいっぱいの楽しい雰囲気を表した「温め部」、見出しには「温めは女性にとって必要なこと」とあります。からだを温めることで「心が温まる」と語っている人もいます。それは事実かもしれませんが、そうでないからといって自分のからだと向き合っていないわけでもないし、“女”という部活から外れた寂しい人でもなければ、心が冷たいわけでもありません。そこに惑わされないようにしたいなと思います。心があったかいかどうかなんて、靴下の枚数で決まるわけじゃねーんだヨ!
(亀井百合子)