セルフイメージは20代!? バブル雑誌「GOLD」にさまよう“わがまま”な現役感
45年ぶりの大雪に揺れる日本列島。その寒さよりも舛添東京都知事当選にガクブルの筆者ですが、今月も「GOLD」(世界文化社)を読んでみると、ちょっと前まで「女子」自意識を抱いていた40~50歳の扱いに迷っている制作側の思いを感じ取ってしまい、また寒気が……。さて、「GOLD」の基本は「わがまま礼賛」。どうやら、「わがまま」という言葉に特別な価値を見出しているようです。女性の「わがまま」が社会への抵抗として作用していた、昭和の名残を引きずっているように思えますが、いまどき「わがまま」な生き方は当たり前となってしまい、殊更にこだわる意味もないような?
<トピック>
◎かっこいい大人のデニムは永遠です!
◎トップブランド靴&バックの新・エースをねらえ!
◎Back to age ミスキャンパス
■セルフイメージは20代!?
特集名「今井美樹さん 大人のデニム どうでしょう?」に、いきなり面食らいました。疑問形とはちょっと新しい。こちらの提案で話を進めるよりも、まずは希望を伺ってから……という、上司への立ち回りのようなテクニックを使ってきましたね! 同誌の年間カバーガールを務めている今井ですが、5号目にしてもいまだ「あの今井美樹のごきげんを損ねるな!」という制作側の熱き思いを感じます。
そんな中、印象的だったのはW浅野時代の「いい女は白シャツにジーンズ」信仰を感じさせる、白シャツ&デニムのスタイリング。いや、今井だから綺麗なビジュアルに完成されてますけど、普通の50女にデニムと白シャツって、いくらバブル世代を通過したとはいえ、生活感がにじみ出てファションからほど遠いモノになる可能性が濃厚……。髪の毛からつま先、シャツの素材から袖の折り返しにデニムの濃淡にまで意識を払わなければ、厳しいビジュアルに成り果てるでしょう。白シャツのほかにも、50女の「やってはいけない洋服10選」に入っていそうなデニムに蛇柄っていう組み合わせも……。
そうはいっても、ファッションは周囲がなんと言っても本人が楽しめていればOK。ですが、読者層が40代後半~50代にもかかわらず、起用されているモデルが長谷川潤はじめ、つやつやピカピカの肌や体を持つ若い子たちばかりなのは、いかがなものでしょう。もしかして、「セルフイメージは20代で止まってるっしょ?」という制作側の読者への優しさ……もとい舐めた考えなんかじゃないですよね!?
桜沢エリカ女史のファッションコラムも、やっぱり10代にしか見えない若すぎるイラストでGOLD世代を描いてるようには見えず……。いっそ、「上品で素敵なおばあちゃん」を目指す方向に、モデルもイラストもシフトするっていうのはどうでしょうか?
■川島なお美を正しく享受する世代
今月のバブル時代振り返り連載「Back to age」では、「ミスキャンパス」を特集。昨今の「ミスキャンパス」といえば、女子アナウンサーの登竜門としての機能が大きいですが、「GOLD」で振り返るそれは、「ラジオDJに女子大生がなる!」というテーマの元、女子大生が選ばれる時代のものです。誌面には2人の「ミスキャンパス」が登場していますが、目立つのはなんといっても、川島なお美! 「ミスキャンパス」でラジオDJとして経歴をスタートさせるも、その後に女子大生ブームが訪れ女子大生メインのテレビ『オールナイトフジ』(フジテレビ系)が始まり、一気に“女子大生DJ”の価値が暴落するわけですが、なお美の中ではいまだに高値維持のよう。
しかし、あらゆる過去を見てきた同世代の読者は知っています……カンニング伝説のある大学時代のなお美、おじさんの添え物だった『お笑いマンガ道場』(日本テレビ系)時代のなお美、そして渡辺淳一との不倫でやっと世間をにぎわすことできたなお美……。暴落してしまった自分の価値を取り戻そうと、今でもあがいているなお美……。
「過去があるから今日があり、今日がすべての明日につながっているんです」と、自分の過去を礼賛していました。そう、この世代にとっては厳しい過去ほど上昇志向の糧。なお美こそGOLD世代の生き写し。長い人生のさまざまな辛苦や赤っ恥を乗り越えて、それでも「わがまま」に生きる。――なお美を取り上げた編集部からのメッセージを私、しかと受け取りました。そういえば、「ジュエリーの資産価値講座」特集が全体でも浮き上がってましたが、老後にはやっぱりお金が大事ですよね。ね、なお美!
(中島ホタテ)