カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」2月22日号

「婦人公論」の「女が嫌いな女」は、まさに読者そのものという強烈ブーメラン

2014/02/17 21:00
「婦人公論」2月22日(中央公論新社)

 前号で突然の隠し子告白をした浅香光代。「なぜ今!?」感が拭えないことはレビューでも書きましたが、あれは今号特集への伏線だったのかもしれません。表紙およびロングインタビューで登場した草間彌生先生の圧倒的存在感に負けないくらいインパクトがある、「特集 50代からの大往生計画」の文字。そう、今回は「婦人公論」読者の憧れ、ロード・トゥ・“ピンピンコロリ”。「死」をライトに語る筒井康隆氏をはじめ、著名人たちのエンディングノート、ポックリ逝くための生活習慣、死んでから家族に迷惑かけないための「老前整理」など、全体的にあっさりとした味付けで、まるで週末のオススメイベント情報を紹介しているようなノリです。さすが、両親舅姑を見送りまくり、“老後”“葬式”“墓”ネタ大好きの「婦人公論」世代、「死」はお友達のよう。

 しかし、特集後半の草間彌生インタビュー「私が死んだあとも、私は生きるのです」で、それまでの『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)のようなお昼の平和なムードは一変、読者体験手記「墓場まで持って行きたい私の『罪』と『恥』」には、「体の相性ピッタリな元彼と不倫してます」という女性や、「自分、昔女王様やってまして……」という主婦が登場し、一気に『どう~なってるの!?』(フジテレビ系)のような下世話テイストに。結局は「死」を言い訳に自分を語りたい。“女はみんな浅香光代”ということを確認したところで今号のラインナップを。

<トピックス>
◎特集 50代からの大往生計画
◎清水アキラ 結婚34年、妻を“女房役”から解放してあげたかった
◎私の周りの“女が嫌いな女”

■「卒婚」をうっとり語る男の気持ち悪さ

 特集内「痛みも苦しみも少なくポックリ逝ける人の秘密」を監修する医学博士の佐藤琢磨先生によりますと、理想通りポックリ死ねる人は全体のわずか1割にも満たないのだとか。人間の脳には「食べる・眠るなどの原始的な活動や本能・欲求に関わる部分」と「進化の過程で発達してきた高度な思考や行動を司る部分」があり、先生は前者を「古脳」、後者を「新脳」と名付けたそうです。「婦人公論」に置き換えれば、婚外恋愛しちゃうのは「夫以外とセックスした~い」というプリミティブな欲求、つまり「古脳」の働き。一方、「ダメよダメ。私には夫も子どももいるんだから」と社会規範で自分を律するのは「新脳」が優位に働いているというわけ。ポックリ型の人は比較的この「古脳」の機能がしっかり働いているタイプで、ストレスをためずマイペースに生きることがポイント。

 しかし現代においてストレスなしで生きるのは、並大抵のことではありません。「婦人公論」でいう、ストレスの元と言ったらそりゃもう、百害あって一利なしでおなじみ、夫。そんな夫が自ら「妻を解放してあげた」と鼻の穴を膨らませつつ語っているのが清水アキラの「結婚34年、妻を“女房役”から解放してあげたかった」。

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