カルチャー
孤独な散歩者を白昼夢より目覚めさせる痴漢との格闘史
2014/02/12 20:00
あなたは白昼夢を見たことがあるだろうか。白日夢とも呼ばれるその言葉の意味合いは『日中、目を覚ましたままで空想や想像を夢のように映像として見ていること。また、そのような非現実的な幻想にふけること』(goo辞書より)。つまり、大雑把に言えば妄想であると解釈できるのだが、私にとっての白昼夢は本筋とは異なり、非現実的な現実の光景を意味する。
日中、閑静な住宅街の中を歩いていると、人っ子一人見当たらないことがある。多くの人間が共生する地帯で、私一人だけが道を歩いている。住人の多くはおそらく職場や学校に出かけているのだろう。家の中ではお母さんが家事や育児に精を出し、老夫婦がテレビを見ながら笑い合っているかもしれない。しかし、生活音も声も外には聞こえて来ない。犬も吠えない。生命の気配がない。何もかもが静止する光景の中で、私と雲だけが先を急ぐ。
最終更新:2014/02/12 20:00