「イオンモールで全国制覇!?」吉本興業、イオンにすがるしかない笑えない事情
昨年12月、よしもと幕張イオンモール劇場をオープンさせた吉本興業。「都心にあるルミネtheよしもとやヨシモト∞ホールでさえ客が入らないのに大丈夫か?」とオープン前は危惧されたが、物珍しさもあったのか客足は上々のようだ。
「ピースやパンサーといった人気の若手から、ナインティナイン・岡村隆史やチュートリアルなど全国区の芸人のライブをブッキングするなど、気合が入っています。吉本はこのイオンモール劇場が最後の頼みの綱。幕張が好評なら岡山など地方のイオンモールにも劇場をオープンさせるという話が進んでいるため、幕張はコケられない。社運を賭けたプロジェクトなんです」(広告代理店関係者)
島田紳助引退以降、キー局の吉本離れが進んでいると各所で報じられている。さらに東京のメイン劇場である、ルミネtheよしもとの集客力も落ち込み、平日に3回行われている本公演が、今春からは2回に減るという。
「ルミネtheよしもとも、以前は修学旅行やバスツアーなどの団体客で連日のように賑わっていましたが、最近はツアー客も減り閑古鳥が鳴いている日も多い。若手の劇場である∞ホールは、出演する芸人にチケットノルマを課しており、チケットが捌けなければ芸人が買い取る。そのため経理上は黒字ですが、客足はピーク時の半分ほどに減っています。一昨年、福岡・小倉にオープンした『あるあるYY劇場』も集客が伸びず、スポンサーが契約更新を渋っているためそのまま閉館になるのでは? という話です。そんな矢先に舞い込んできたのがイオンとの提携話。テレビの仕事が減った芸人の受け入れ先の確保としても、吉本はイオンモール劇場をどうしても全国展開したいんだとか」(放送作家)
ここまで全国展開に積極的な姿勢を取るようになったのは、大崎洋社長の鶴の一言で始めた『あなたの街に住みますプロジェクト』の成功だという。47都道府県に芸人を配置し、地域密着の活動を行うというこのプロジェクトは、当初、現場スタッフも「無名芸人メインのこんな企画が成功する訳がない」と消極的だったが、意外にもこれが大成功。ムーディ勝山の元相方で、現在「香川住みます芸人」の梶剛が情報番組のMCを務め、香川の顔になるなど、地元でブレイクを果たす芸人が増えている。
「大崎社長は『これからは地方の時代だ!』と、自分発信のプロジェクトが成功して喜んでいる。キー局の吉本離れは進んでいますが、地方局ではいまだにありがたがられるので、あながち間違ってもないかもしれませんね。住みます芸人が地方局とのパイプを作っているので、劇場を全国展開した場合に宣伝もしやすい。東京でくすぶっている中堅芸人らを地方に出張させるという構想もあるようですよ」(前出・放送作家)
地方から再建を狙う吉本興業。しかし大コケを連発している映画事業など、赤字部門を見直すことが先決な気がするが……。