コラム
[連載]悪女の履歴書
「赤いドレスの通り魔」「ひらひらさん」と呼ばれた連続通り魔・伊田和世の実像
2014/01/25 19:00
■近所での通称はフリルの服を着た「ひらひらさん」
成人して以降、和世のトラブルメーカーぶりは治まることなく逆に加速していった。当時のマスコミは、数々の和世の“壊れっぷり”を報じている。
いわく、挨拶もしない。子どもに向かって「うるさい!」と怒鳴る。クレームをつけられて引っ越しを余儀なくされた家族もいた。ゴミの分別をしない。近所とのトラブルも多数。バブル全盛期のようなロングの茶髪で真っ赤な口紅という異様な容姿。いつもひらひらのフリルのついた派手な格好で「ひらひらさん」と呼ばれていた。精神不安定で精神科に通院していた。しかも死体写真愛好家だった。盗癖もあった。ブランド品を万引きし、それをリサイクルショップで売った。2匹の猫を溺愛し「人間よりもいい」と嘯いた。人形にも執着し高価な着せ替え人形を買い漁っていた。部屋の中はゴミ屋敷と化していた――。
周囲にとっては迷惑で変わった人であり、なるべくなら接したくないような面倒な人物だったことは想像に難くない。親戚も和世を持て余し、精神病院に入院させることも話し合っていた直後の犯行だった。和世は逮捕後、犯行の動機をこう語っている。「イライラしていた。人を刺せば気が晴れるのではないか」。だが和世は若い女性を襲って刺すだけでなく、バッグや現金をも奪い、犯行後、シャネルのバッグやキーホルダーを大切に所有していた。
(後編につづく)
最終更新:2019/05/21 18:54